リナリアに苦悶する 6 (ページ4)

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＜ジュンミョン＞

それは、いつも通りの平穏な日常。

祖父から引き継いだ骨董屋で、昼頃、いつものように店の奥で仕事をしていた時だった。

　ダンッ！！

「ひっ…！？」

突然、入口の扉に、何かが当たる音がした。

しかし遠目で見たところ、扉に付いた窓からは何も見えないし、誰もいない…。

シン、とする店内。

誰かが入ってくる気配もない。

…不気味だな。

恐る恐る、入り口の扉に近づく。

…念のため、近くにあった壺を持って、扉のドアノブに手をかける。

フーッ、と息を吐いて、覚悟を決め、思い切りドアを手前に引き、開ける…！

が、キョロキョロ見回しても、誰もいない。

…なんだ、風の音か何かだったのかな。

そう思いながら、ホッとして店内に戻ろうとしたその時。

「う、うわぁぁぁ！！！！！」

パリーン！！

突然、右足首を誰かに掴まれる感覚がして、びっくりして壺を落としてしまった。

下を見れない。

怖い。誰かが…いや、何か、が、俺の足首を掴んでいる。

冷や汗が垂れる。

動け、俺の足…このまま…このままだと「うぅ〜…あたまいたい…」

…ん？

聞き覚えのある声がして、パッと下を見ると。

「…何やってんだ、セフン」

「…ジュンミョニヒョンこそ、女の子みたいな声上げて壺まで割って…危な…頭の上落ちるところだった…」

そこにいたのは、ゾンビ…ではなく、ただの、床に這いつくばったセフンだった。

「し、しょうがないだろ、昨夜ゾンビものの映画見ちゃって…」

「ヒョンってまじでそーやって影響されやすいよね…いてて…よっと…」

セフンはふらつきながら俺の体を支えにして立ち上がった。

「どうしたんだよ、セフナ…」

「二日酔いで、あたまがいたい」

「え、そんだけ？」

「ついでに、こころもいたい」

「…たぶんそっちがメインだろ」

はぁ、と俺はため息を吐く。

「壺片付けたら行くから、とりあえずその辺座ってろ、な？」

「うん…」

ふらふらと棚をつたいながら店内に入っていくセフン。

あんなになるまで酔うなんて。珍しい。

そう思いながら割れた壺の破片を回収する…売り物じゃん、これ。

「お待たせ」

「うん、待ったー…」

「…少しは気遣ってくれよ」

まぁ、いくら態度がデカくても、この子なら許せるんだけど。

「で、どうしたんだ？」

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