リナリアに苦悶する 6 (ページ28)

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277.気持ちを知りたくてページ28

＜セフン＞

Aはあれからルンルンで部屋の掃除をしていた。

俺のあげたイヤリングを付けたまま。

…ベッキョニヒョンとの誤解を解くのはもういいのかよ、と言ってしまいそうになったけど。

純粋で単純なAちゃん。可愛いなぁ。

そして、キムジョンインとの約束の時間になった。

「セフンさん、お風呂沸いたのでどうぞ！」

「あ、ごめん、ちょっと今から用があって出かけなきゃいけないから」

「え！？こんな時間に！？」

Aは驚いた顔で時計を見て、こちらに向き直って怪しむような顔をする。

「…何しにどこに行くんですか」

「んー、秘密」

「またですか！？」

「お子様には分からない大人の事情ですよー」

「まっ…またお子様扱いしてっ…！」

「いい子にしてたらお土産買ってくるから。じゃあね〜」

「ちょっ、セフンさん！？」

ヒラヒラと手を振りながら、俺は家を出る。

Aのことだ。きっと、しつこいと嫌われる、と思って追いかけて来ないんだろう。

…本当に、俺のことが好きだね。

約束の時間、19:00ぴったり。

ミンソギヒョンのお店に入ると、カウンターにキムジョンインがいた。

「あ、来たね、セフン。こんばんは」

「やっほーミンソギヒョン。キムジョンインさんも、お待たせしました」

「いえ…で、話って何ですか？」

仕事終わりらしいキムジョンイン氏。疲れてるところ悪いね、今から失恋させます。

「ミンソギヒョン、なんか適当に美味しいもの作って」

「適当にって…ほんと適当だな…」

ぶつぶつ言いながら、ミンソギヒョンは俺たちの元から離れた。

それを確認して、俺はキムジョンインの隣に座る。

「話っていうのは」

「…はい」

「Aに、恋人ができた」

「…え…」

反応が見たくて横目で確認すると、キムジョンイン大きく目を開いて、それからゆっくりと顔を伏せた。

「…そう…ですか…」

少し心が痛いけれど。

聞きたいのは、これからだ。

「…なんで、俺にそれを…Aさんに頼まれたとか…？」

「いいや。俺のためなんですよ」

「え…？」

理解が追いついていなさそうなキムジョンイン…当たり前か。

「まさか、そのAさんの恋人って…」

「いや、俺そこまで性格捻じ曲がってないです」

まぁ、あなたを失恋させましたけど。

Aの恋人は、俺じゃないんだよな。

「じゃあ、なんで…」

「今のあなたの気持ちを、知りたくて」

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