リナリアに苦悶する 6 (ページ24)

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273.失恋とはページ24

＜セフン＞

好きな人に、恋人ができた、イコール…失恋、ってやつだ。

Aに恋人ができて悲しむ男がいることを、思い出した。

元は、Aが読んでいた、恋愛感情のもつれがテーマの小説を読んで恋愛感情のヒントを探ろうと思ったのがきっかけだけど。

その小説をAに贈った男、キムジョンイン。

彼は、Aに恋愛感情を持っている。

そんな彼が、Aに恋人(仮)ができたと知り、失恋したら、どんな感情になるだろうか。

…それは、俺の中の、今気づいていないフリをしている感情と、同じだろうか…。

それを探るべく俺は、キムジョンインに会いに行くことにした。

まぁ、彼には悪いけどね。

失恋させるわけだし。

Aに教えてもらった、彼が勤めるお店にたどり着く。

…本当に見るからに高級ブランドのお店。

ここに1人で入るなんて、相当勇気がいるだろうに…あの小さなAちゃんが…

Aは、俺のために…。

いつもはシャツの中に入れているネックレスを取り出し、ぎゅっと握る。

そして、改めてお店の前に立つと。

「いらっしゃいませ」

店に入る雰囲気を察した店員さんがドアを開けてくれた。

「…どうも」

女性の店員さんで、高級ブランド店に相応しい綺麗な人だった。

「ご来店は初めてでいらっしゃいますか？」

「えぇ、まぁ…」

俺も普段こんなところ来ないから、なんか緊張する。

「左様でございますか。本日は、どのような商品をお求めで？」

「あ、いや、ちょっとここの店員に用があって…」

そういえば、世の中、今の時間は働いている人がほとんどだ。

働いてる店に行けば会えるかもしれないが、会えても仕事中じゃん…普段昼怠けてるのが祟ったわ。

「はい、どの…？」

「キムジョンイン、っていうんですけど」

「ジョンイン、さんに…？」

「はい、ちょっと知り合いで」

「分かりました…少々お待ちください」

お姉さんは、キムジョンインをバックヤードに呼びに行ってくれた。

とりあえず、仕事が終わったら会う約束だけしよう。

そう思ったが、戻ってきたお姉さんによると、今ちょっと出ていて、もう少ししたら帰ってくる、とのこと。

それまで、椅子に座って待っていることにした。

そして、お姉さんが持ってきてくれた飲み物を飲んでいると。

「あの…もしかして、ジョンインさんのご友人の方、ですか？」

お姉さんに、そう話しかけられた。

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