リナリアに苦悶する 6 (ページ19)

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268.意地悪な質問ページ19

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「…はへ…っ…？」

人生で出したことの無い声が出た。

『今すぐちゅーしたい。セフンのいる家にも帰したくないし、俺の腕の中に閉じ込めてやりたい』

あまりにも真剣な表情で言われたその言葉が、頭の中でぐるぐると回って訳がわからなくなる。

目の前が一瞬くらっとした気がした。

「…青になったよ」

そう言って、私の手を掴んで引くベッキョニオッパにつられるままに歩き出す。

元々、ベッキョニオッパのことを色々知りたくて。

可愛い、なん息を吐くように言えるようになるまでには、一体今まで何人の女の人を好きにさせてきたんだろう…と、本当は聞きたくないことを、聞いてみた。

嫌なところも、ありのまま受け入れるのが愛、だから…。

でも返ってきたのは、自分には受け取り切れないほどの言葉だった。

「このまま帰る？それとも、俺とお出かけする？」

なんてベッキョニオッパが言うのは、左が家に帰る道、右が街の方に行く道、という分岐点に差し掛かったところだった。

「えっ、と…」

今の自分の気持ちは…もう少しだけ…

「…ちょっと意地悪なこと言ってみて良い？」

「な、なんですか…？」

右に気持ちは傾いてて、なんならもう体も右を向いてたんですけど…ベッキョニオッパは、そう言いながら足を止めた。

「セフンのいる家に帰るのと、俺と一緒に街に行くの、どっちがいい？」

…それは、大層意地悪な質問だ。

私は俯いた。

「…分かったよ。意地悪してごめんね」

私が黙っていると、ベッキョニオッパは私の手を引いて…左に、歩き出した。

「え…」

何が、分かったの…？

ベッキョニオッパの顔を見ようにも、ずんずんと早足で家の方に進んでいくオッパには後ろからしか付いていず、見れない。

「待ってください、ベッキョニオッパ…」

「いいよ、言わないで。俺、分かってるから」

だから…何が…！？

もやもやしながらもベッキョニオッパに引っ張られるように頑張ってついて行くと、次第に家が見えて。

「あ…」

2階にある家の前の階段の手すりに腕を組み、顔を乗せてこちらを見下ろす、

「セフンさん…！？」

と、目が合った。

セフンさんは、私と目が合った瞬間に少し眉を上げて、すぐに真顔に戻った。

「Aちゃん、俺、ちょっと傷ついたよ」

そう言いながら、ベッキョニオッパは歩を緩める。

そして、家の前で立ち止まった。

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