リナリアに苦悶する 6 (ページ16)

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265.恋と愛ページ16

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「え…どういうことですか…？」

「Aちゃんはさ、恋と愛の違いって分かる？」

恋と、愛…

「む、難しいです…」

「うん、そうだよね。分からない人もいると思うし、色んな考えがあると思うんだ。でも僕はこう思う。恋は、自分と違う部分に惹かれるのに対して、愛は、自分と同じところを見つけつつ相手の嫌なところを、ありのままを受け入れられることを言うんじゃないかって」

「へぇ…」

「真っ直ぐで裏表の無いAちゃんは、自分と違ってギャップのあるベッキョンに惹かれた。逆もまた然りだと思う」

「な、なるほど…たしかに…」

自分のことはよく分からないけれど…ベッキョニオッパに対してドキッとするのは、普段子どもっぽいオッパが見せる年上ならではの余裕がある顔を見た時だ。

そういう意味では、合っているのかもしれない。

「あとはまぁ、恋は自分本位で愛は他人本位だったり。恋はお互いを見つめ、愛は同じ方を見つめる、なんて言う人もいるね」

そう言ってミンソギオッパはコトンとコーヒーをカウンターに置いた。

「ちょっと長話しすぎたね。もうそろそろベッキョン以外のお客さんも来るだろうから、ホールに戻って」

「はい…なんか、大切なことを教えてもらった気がします…ありがとうございます」

「いえいえ、どういたしまして」

何を思ってミンソギオッパは突然恋と愛の違いについて話しだしたのかは分からないけど、なんだか重要な考え方な気がした。

優しく微笑んでくれるミンソギオッパに軽く頭を下げ、コーヒーをお盆に乗せてホールに戻った。

「お待たせしましたー…」

そう言いながらそっとベッキョニオッパの机にコーヒーを置く。

オッパは自分で言っていたように、パソコンと睨めっこしていて私には気づいていないや様子だった。

…私はベッキョニオッパの、私とは違う部分を好きになった。

『恋は、自分と違う部分に惹かれるのに対して、愛は、自分と同じところを見つけつつ相手の嫌なところを、ありのままを受け入れられることを言うんじゃないかって』

じゃあ…オッパと私の同じところはどこだろう。嫌なところって、どこだろう。

それが気になって、ますますベッキョニオッパのことを知りたくなった。

「…そんなに仕事してる俺、かっこいい？」

「え！？」

ついじーっと見つめてしまっていると、ベッキョニオッパは突然喋りだして目をこちらにやった。

目が合った瞬間に、キュンと胸が締め付けられた。

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