リナリアに苦悶する 6 (ページ9)

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258.IQ3 ページ9

＜ベッキョン＞

「あ…あ…あ…」

「ん？…お、噂をすれば！！」

チャニョルに叩かれながらスマホの画面を見ると、”着信、Aちゃん”の文字…

「随分夜遅くに電話してくるんだな」

確かに…時計はもう23時を回ろうとしている…セフンに隠れてこっそり、とか…？

なにそれ、可愛い…え、セフンに隠れて俺に電話してきてくれてるの？まじで？

「早く出ないと！俺静かにしてるから！」

ニヤニヤと笑いながらチャニョルが自分の口を塞いだのを確認し、恐る恐る、いや、思い切って電話に出る。

「も、もしもしAちゃん久しぶり！！」

そう、勢いよく、出た、のに。

『あ〜、べっきょにおっぱ〜、ひさしぶりです〜遊園地以来です、』

「オイコラオセフン」

俺は通常の3オクターブくらい低い声でその憎き名を呼んだ。

『あはは、ごめんこめん』

「”あはは、ごめんごめん”、じゃねぇよ！！なんだよ！！！返せよ、喜びをよぉ！！！！！」

激昂しながらチャニョルの方をチラリと見ると、呆れたような残念そうな顔をしながらキッチンの方に歩いていった。

全く…！！ふざけるな！！！セフンの奴…どういうつもりだ！！！

『…じゃあ代わりに喜びを与えてあげましょう』

「なんだよ」

苛立ちを抑えきれず、冷たくそう言うと。

『いいの？そんなに俺に冷たくして。あげないよ？喜び』

「お前が俺になんの喜びを与えられるっていうんだよ。なんだ？Aちゃんと電話する権利か！？それともデートする権利か！？」

『ううん、仮の恋人になる権利』

「あぁそうか、仮の恋人になる権利か！そうか、ありがとな！！

…って、え？」

恋人、になる、権利…仮の…？

へ…？

「…どーゆーこと？」

突然の出来事に、頭が馬鹿になる。

『だから、そのまま。仮の恋人になっていいよ、Aと。ベッキョニヒョン』

…えぇーっと…

「…ごめんセフン、俺今さ、IQ3だわ」

『へぇ、そう。確かナマケモノがそんくらいだった気がする』

「…ナマケモノは昼間ダラダラしてるお前の方だろ」

『言えてる』

…なんかくだらない言い合いしてたら、ちょっとずつ冷静になってきたぞ。

『…俺さ、色々考えたんだよ』

「な、何を？」

『Aが、どうやったら一番幸せになるのか』

それは…お前は、散々考えてきてるじゃないか。

今更…何を。

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