リナリアに苦悶する (ページ10)

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9.我慢してくださいページ10

＜セフン＞

『トイレの中から俺たちの会話聞いて、俺のこと探ろうとした？あと、嫉妬してる？』

…びっくりした。

なんで気づかれた？俺が、トイレに入って2人の会話に聞き耳立ててたこと…。

…あ、俺直接聞いてないはずなのに、ビョンベッキョンの名前とか年齢言っちゃった？

それに、トイレに行くと言ったくせに水を流すの忘れたな…その音がしなくて？

Aと2人きりにさせることでコイツの本性を探ろうと思ったのに。

Aが楽しそうに話してて、嫉妬して焦っちゃった。

何を言われたのか、すっごい慌てて…その声、すっごい可愛かったんだけど。

何だったんだろ…気になる。

A、この男に心を開いたのか…？

…嫌だな、あぁ、嫌だ。

せっかくの2人きりを邪魔される。

…嫌、なのに。

「一晩、お世話になります！」

無邪気に笑うこの男…鋭すぎて、怖いぞ。

すっかり怯んでしまっている間に、なんだか話が進んでいた。

「ど、どうぞ、狭いところですけど…」

Aは戸惑いながらもそう言って微笑む…微笑むな、こんな男に。

「この部屋が事務所…主に仕事をする場所で、あの奥の扉の向こうが住宅スペースです。軽く案内しますね」

「うん！よろしく、Aちゃん！」

…気に食わない。

Aとベッキョンは立ち上がって、奥の部屋に入っていく…うぅ、嫌だ。

そこは俺とAしか入れない場所なのに…。

でもすっかりベッキョンの勢いに押されてしまっている俺…情けない。

とぼとぼと、2人についていく。

「ここがお風呂になります。えっと、寝るのは…」

「ベッド一つしかないね。いつも一緒に寝てるの？」

「あ…ま、まぁ…」

「へぇ～そうなんだぁ～」

ニヤニヤと俺とAを見比べるベッキョン…なんだよ。

「大丈夫！邪魔しないように、事務所の方の部屋のソファで寝るから！」

「じ、邪魔って…！」

Aは戸惑っている。

「邪魔って分かってんなら出てけばいいのにー」

「セフンさん～？」

「…ちぇっ」

ジトッと俺を見るA…可愛いから黙っちゃう。

いつもはぎゅーって抱き締めて黙らせるのに…なんだか調子が狂う。

「今晩だけですから。知らない人を泊めるのが嫌なのかもしれないですけど、我慢してください！」

…俺が嫌なのは、知らない人が泊まること、じゃなくて…

Aと2人きりを邪魔されること、なのに。

「…フン！」

俺は拗ねて、奥の部屋に入っていった。

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