5.酔っ払いの訪問者 ページ6
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ぐぅ〜…
「お腹空いた…」
ソファに寝っ転がり、そんなことを呟くセフンさん。
「お昼あんなに美味しそうに食べてたじゃないですか」
「お昼の話でしょ〜？もう晩ご飯の時間だよ〜。A、なんか作って〜」
セフンさんは、だらしなく力の抜けた声で言う。
…しょうがないな。
パタン、と家計簿を閉じる。
…何時間家計簿と睨めっこしてたんだろう。
いつも通り来客もないまま、すっかり日が暮れてしまった。
晩ご飯の用意しよう。その前に、事務所の看板、CLOSEDにしないと。
そう思って、玄関の扉を開くと。
「…え、誰」
そこには、知らない男の人が、扉の横の壁にぐったりともたれるように座っていた。
キョロキョロと周りを見るけど…この事務所に用があるとしか思えない。
目は閉じられていて…寝てる？
「あ、あの…！」
恐る恐るしゃがんで、ぽんぽんと肩を叩くと。
「んっ…」
幸い、寝ていただけのようで、男性は目を開け…
たと思ったら。
「なんで俺と別れるなんて言うんだよぉ！！！」
「え！？！？」
突然私の手を掴んで、そう叫んだ。
真っ赤になった顔で、うるうるとした目で見上げる男の人。
…私なんかより、この人の方が犬っぽいんですけど。
「俺の何がいけないんだよぉ〜！顔もいいしお金だってあるしかっこいいし面白いし優しいしぃ！！！」
…酔ってるな、完全に。
酔って、何かの間違いでここに来たんだ、この人。
「うるさいなぁ…どうしたの、A」
騒ぎを聞きつけたらしく、ひょっこりと現れたセフンさん。
「なんかこの人、すごい酔っ払ってて、」
「別れるなんて言わないでくれよぉ〜！！」
男の人がよく通る声でそう叫ぶと、セフンさんは目を細めた。
「…何、Aの彼氏？」
「いやいやいや！！違います！！私を誰かと勘違いしてるみたいで…！！」
「…ふぅん…」
セフンさんは怪しむ目つきでジロジロと私を見る…なんでそんな目されなきゃいけないの。
セフンさんは男の人が私を掴んでいる手を解かせて、男の人に目線が合うようにしゃがんだ。
「お兄さーん、大丈夫ですかー？」
「ん…誰…」
「僕はオセフンです。ここで相談屋やってます。何か悩みでも？」
セフンさんは仕事モードになったのか、冷静な口調になった。
「悩み！ある！！」
男の人は、ぱあっと笑顔になってそう言った。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年10月6日 22時
