29.夜中の談合 ページ30
＜ベッキョン＞
『ベッキョニオッパよりセフニオッパの方が好きです！！』
そのAちゃんの叫びが聞こえてから数時間が経った。
あれからどうなったんだろう。Aちゃんも大変だなー、なんて思いながら、電気を消して、事務所のソファに横になる。
…セフンって、Aちゃんのこと、大好きだよな。
めちゃくちゃ、俺に嫉妬してくるし。
その好き、が、恋愛的に、なのかは分からないけど…。
「ふわぁ…」
あくびをして、目を閉じる。
いつまで、俺はここにいるんだろう。
ここに居続けると、セフンの機嫌は悪いままだし…いい加減、家、探し始めないとな…。
でも、彼女のこと…ちゃんと諦めるべきなのかな…。
なんて、思っていると。
ガチャ、と扉の開く音がして、パチッ、と、部屋の明かりがついた。
「わっ、眩しっ！！」
Aちゃんかな…何か、事務所の方に忘れ物？
なんて思っていると、目が慣れてきて。
目の前にいたのは…
「え、セフン…」
ドサッと、セフンは目の前のソファに座った。
…なんでセフンが。こんな夜中に。
俺は戸惑いつつ体を起こす。
「えっと…Aちゃんは…？」
「寝てる」
セフンは素っ気なく言った。
「そ、そっか…なんの、用、かな…」
セフンと一対一で話すのは初めてで、なんか緊張する…。
「…これ」
セフンは、ポケットからパラッと数枚写真を取り出した。
そこには…
「え…」
目を疑うような光景。
彼女が…知らない男と、楽しそうに腕を組みながら歩いていたり、俺と同棲してた部屋に入っていく瞬間のものだったり…
バッと顔を上げてセフンを見ると、セフンは目を細めて写真を見つめていた。
「…人間は、欲張りだな」
セフンはそう呟く。
…つまり…なんだ…彼女…
「どうやら、浮気してたらしい。それで、あんたよりこの男の方に乗り換えたみたいだよ」
冷たく言い放つセフン…
「乗り換えたって…」
そんな…
「そんな言い方、無いだろ…！？」
浮気、してたとしても…俺が、好きになった人だ。
その人を、侮辱されてるようで…腹が、立った。
セフンは、俺の目を平然とした顔で見る。
「浮気されたのに、まだ好きなの？」
「…っ、それ、は…」
急なことで、現実が受け止められない。
あの彼女が、浮気してたなんて…。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年10月6日 22時
