16.ポッポして ページ17
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「セフンさん」
「…」
「セフンさーん」
「…」
「…事務所のソファで寝ますね」
「やだ。だめ。嫌。絶対」
「じゃあ布団入れてくださいよ…」
夕食を終え、片付けと洗濯物を終えて寝室に帰ってくると、これだ。
また布団で全身を包んで、拗ねていた。
「…来て」
ヒラッと布団が開けられ、来るように促される。
そこに入ると、すぐに布団で包まれ、抱き締められる。
「…あいつ、絶対Aのこと狙ってる」
「セフンさんの思い込みですってば…」
「そんなことない。Aにデレデレしてた。気持ち悪かった」
「そんなことないですよ…良い人じゃないですか」
私がそう言うと、セフンさんは片手で私の両頬を潰す。
「ん、なんれすか」
「…なに、あいつのこと気に入ったの」
「手離してくらはい」
「…可愛いから離さない。朝一で追い出すから、あいつ」
「はいはい。わかったので離してくらはい」
「ポッポしてくれるなら離す」
「はいはい」
手が離されて、頬がこちらに突き出される。
こんくらいは、慣れている。
ちゅっと軽く頬にキスすると、途端にふにゃっとした笑顔になるセフンさん。
「もう一回！」
「…調子乗らないでください」
「いいじゃん、減るもんじゃないし！」
「…ったく」
…本当は、唇にしたい。
目を閉じてポッポを待つセフンさん…唇にしても、何も、言われない、だろうけど…
私に、そんな勇気はない。
もう一度、ほっぺにキスをする。
「んふふ、いいね。幸せ」
ぎゅーっ、とまた私を抱き締める。
ぎゅーっ、と、心臓まで締めつけられる気分。
「ふわぁ、久しぶりに仕事したから疲れたなぁ〜」
「…そんな大した仕事してないじゃないですか」
「なに？また拗ねるぞ」
「…面倒臭いのでやめてください」
「まったくもう…Aちゃんはツンデレなんだからー」
つ、ツンデレ…？
待て待て。私がいつデレたって、
「おやすみー」
ちゅっ、とほっぺにキスをされ、セフンさんは目を閉じる。
5分もしないうちに、スースーと寝息が聞こえてきた。
…マイペースすぎるでしょ。
そのマイペースに巻き込まれて…今、私はここにいるわけだけど。
目の前には、端正な寝顔がある。
1人じゃ寝れないしベッド1個しかないとかなんとかで言いくるめられ、一緒に寝ることになってから半年。
まだ…その顔を見ると、ドキドキと、心臓がうるさい。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年10月6日 22時
