15.そーしてください ページ16
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…起こすの悪いな。
そう思って、引き返そうとすると。
「ん…Aちゃん…？」
ベッキョンさんは眠たそうな目を擦りながら、ゆらりと上半身を起こす。
「あ…ごめんなさい、起こしてしまって…」
「ううん、大丈夫…って、うっ、頭痛い…今、酒が来た…」
「えぇ！？大丈夫ですか！？」
ベッキョンさんは気分が悪そうに頭を押さえる。
「うん…まぁ、自業自得だしね…で、どうしたの？」
「あぁ…今から、晩ご飯…って言っても、極貧スープなんですけど…よかったら、食べますか…？」
「スープかぁ…いいかも。ちょうど胃に何か入れたいし！」
「ふぅ〜あったかくて染み渡る〜！Aちゃんが作ったの？」
「は、はい、まぁ…」
…また、視線を感じる。
恐る恐る見ると、セフンさんが、なんでコイツが居るんだ、と言わんばかりの視線を送ってきていた。
私だって、来るとは思ってなかった。
「趣味は料理って言ってたもんね！味付けは…コンソメ？」
「は、はい。市販のものなんですけど…」
「そっかぁ…野菜、均一に切られてるし大きさも丁度いいし、料理上手なんだな…おんなじコンソメ使うのでも俺が作るのとじゃ違うんだろうなぁ〜ちょっとの切り方で変わるからね！」
「あ…ありがとうございます…」
ベッキョンさん…サラッと嬉しい言葉を口にできるあたり、すごく、イケメンだ…誰かさんと大違い。
素直に嬉しい。照れちゃう。
…また、視線を感じる。
「…おかわり」
また不機嫌そうな顔と口調で、空にした皿をトンと私の前に置くセフンさん。
「自分で注いでください」
「Aが注いで」
「自分のなんだから自分でやってください」
「Aにやってほしい」
「…ったく…」
こんな面倒臭いわがままに、結局折れてしまう自分…情けない。
「はい、どうぞ」
「…うん」
…うん、って、何。ありがとう、くらい言え！
ったく…不機嫌なセフンさんは、本当に扱いづらい。
なんでそんなに不機嫌なのか…よく知らない人が食卓にいたら、気まずいか…。
でもベッキョンさんってすごく人懐っこくてコミュ力が高くて、関わりやすい人だと思うんだけどな。
「美味しかったよ、ごちそうさま！ごめんね、セフンくん。もう邪魔しないからね！」
にっこりと笑って、ベッキョンさんは立ち上がった。
「…そーしてください」
セフンさんはぶっきらぼうにそう言った。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年10月6日 22時
