13.バカみたいだ ページ14
.
…分かっている。
女として見られていないことも、セフンさんが私の身体に興奮しないことも。
…バカみたいだ。
自分は、ものすごく、バカみたいに毎回、ドキドキしている…。
「A」
低い声で…必然的に耳の近くで言われて。
浴室だから、その声が響く。
体が、熱い…お湯のせいだ。
「何話してたの、あのベッキョンって人と」
「な、何って…」
そんな、大したこと…
『2人はさ、付き合ってんの？』
ゔっ、今思い出すと、ますますグサッとくる…。
はい、って言える日なんか、来ないだろうな…。
「何か、嫌なことされてない？」
「さ、されてない！」
「…ほんとに？」
ジトッとした目のセフンさんと…正面の鏡越しに、目が合う。
「されてないです！」
「…ならいいけど。ほんと、明日の朝にはさっさと帰ってもらうからね。あと宿泊代もきっちりもらうから」
「宿泊代って…そんなシステム無いですから…」
「特別処置！それでまた美味しいもの食べようね〜」
きゅうっ、と、お腹に回された腕に力が篭る…
や、やめてほしい…あんまりそうされると…そ、その、セフンさんの、モノが…。
「…あ、てか、まだ晩ご飯食べてないじゃん」
「…あ」
そうだ、ベッキョンさんが来てバタバタしてて、すっかり忘れてた…。
「なんか思い出したら途端にお腹すいてきたよ〜…」
セフンさんは私の肩に顔を埋める…うっ、くすぐったい…。
「じ、じゃあ、作るので、早く上がりましょう！」
「えー…もうちょっとこうしてよーよ〜お風呂上がったらアイツ居るし〜」
「アイツって言わないでくださいよ、お客さんなんですから…」
…くそぅ、失敗。
早くこの状況、切り抜けたかったのに…。
「嫌なんだよー、あの人、彼女に振られたってことはフリーってことでしょ？Aを狙うかも！！」
…どういう気持ちでそれ、言ってるんですか。
私が誰かの彼女になったところで、セフンさんは…。
セフンさん以外の誰かと付き合う、なんて、そんなの…考えられない、けど…なんて…。
「…そんなことないと思いますけど」
「A、可愛いんだからね！もうちょっと自覚持った方がいい！」
…セフンさんに可愛いって言われようと、もうドキドキしない。
それはきっと、小動物とかに言うのと一緒だから。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 169人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：LUKE | 作成日時：2020年10月6日 22時
