桔梗を探して 7 (ページ22)

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313.未練がましい男ページ22

＜チャニョル＞

「これが、俺が高校生の時の写真」

「すごい…この服、なに？見たことない！」

「えーっと、制服っていってね、同じ学校に行ってる人は、みんな着るんだよ」

「みんな、同じ格好なの？」

「うん、そうだよ」

「へー…変なの…」

俺は実家からこの家に来る時、何枚かの写真と、スマホを持ってきていた。

…Aと2人きりで過ごす、最後の時間。

セフンが気を遣って、Aの部屋に2人きりにしてくれた。

「次がね、これ見て」

「なに、これ！すごい！」

「これは、スマホ」

「すまほ…」

「外の世界では、みんな１つ持ってるんだよ」

「そうなの！？こんなすごいのを！？」

「うん。ここ、触ってみて」

「ここ？…わ、なんか変わった！」

「うん。画像フォルダだから…写真が見れるよ」

「すごい…こんな薄いのに、どこに写真が入ってるのるの？」

「はは…違うんだよ！えーっと…む、難しいな、説明…」

Aはキラキラした目で俺を見る。

…俺は、Aのこの顔が、好きだ。

「難しいなら…大丈夫！ね、色々見せて！あ、どうぶつえんって、どんなところ？」

「えっと…写真あるかな…あった！」

も、元カノと行った時のやつだけど…

「わー！なにこれ！これも動物！？」

「うん、鳥だね。こうやって指を動かしたら、違う写真になるよ」

「おー！すごい！」

Aは楽しそうにスクロールする…

「ね、この女の人誰？チャニョルの家族？」

「あ…」

なんで消してねぇんだよ、俺…も、元カノの…

結構未練タラタラなんだよなー…ダメだな、俺。

「えっと…」

「かのじょ？」

「え！？あっ！えっと…」

「ふふ、彼女なんだー！」

「ちがっ…今彼女いないからね！」

彼女いるのにAを好きになったわけじゃないから！

「彼女って…もしかして、お嫁さんと一緒で1人しかだめなの？」

「うん、そうだよ」

「そっかぁ…やっぱりそうなんだね…」

Aは俯く。

「チャニョルの…彼女…羨ましいな…」

ボソッと、Aが言う。

…そんなことを…言われても…。

「わがまま、言えるなら……なりた、かった…」

…やめてよ、A。

俺は…未練がましい男なんだ。

そんなに…俺の心に、纏わり付かないで…。

「…ね、もう一回だけ…キス、しちゃだめ…？」

Aが、涙目で言う。

俺は…

ズボンのポケットを、ぎゅっと握りしめた。

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