桔梗を探して 7 (ページ19)

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310.しゃきっとしなさい！ページ19

＜チャニョル＞

「ふわぁ、おはよー…」

「こら、チャニョル！しゃきっとしなさい！朝なんだから！！」

「うるさ！チャニョルの母親うるさっ！！」

ベッキョンが耳を塞ぐ。

部屋が足りず俺の部屋で寝ていたベッキョンと一緒に食堂に行くと、耳にキーンと響く、懐かしい声。

母さんは、さすがに夜遅いということでここに泊まったようだ。

母さんとギョンスが、忙しそうに朝ごはんの配膳をしていた。

「あぁ、チャニョル、おはよう。お母さんに手伝ってもらってるんだ」

「ギョンス、おはよ…そうなんだ…」

はは、と俺は苦笑い。

「鬼みてぇな母親だな」

ボソッとベッキョンが呟く。

「えーっと、ベッキョンくん、だっけ？」

遠くにいるはずの母さんはベッキョンを睨む。

「地獄耳じゃん！どっかの息子にそっくり！」

「それは俺のことか」

後ろから、尖った声がする。

「す、スホヒョン…あ、ジュンミョニヒョン…ど、どっちがいい？」

「あぁ…ここの住人はスホって呼ぶから…スホがいいかな」

「スホヒョンの地獄耳、あの女に似たんですね！」

「あの女って言うな！俺の…か、か、…」

スホヒョンは、ものすごく言葉を詰まらせている。

「頑張れ、スホ！」

後ろから声がして…Aとセフンがやって来ていた。

「A、セフン、おはよう！」

「チャニョル、おはよ！」

「おはよう、チャニョリヒョン」

「A…体調は、大丈夫か？」

母さん、と呼ぶのを諦めたスホヒョンが言う。

「あー、うん！」

Aは笑顔で頷くが。

「大丈夫じゃないはずなんだ…けど、Aがギョンスヒョンの料理食べたいって聞かなくて…」

「え、ちょっと！」

セフンが俯きながら言ったのが聞こえたのか、母さんが走ってこちらにやって来た。

「妊娠してるのよね？何ヶ月？」

「あ、えっと…よく分かんなくて…」

「妊娠が分かってからどれくらいなの？」

「み、3日、くらい…」

「まぁ！ダメじゃない、安静にしてないと！」

「あ、えっと…」

「あなたが父親？」

母さんは、喋ろうとするセフンを睨むように見る。

「は、はい…」

セフンは完全に萎縮してる…か、かわいそう…。

「あのね、妊娠初期は体調が安定しない時期なの！つわりとか倦怠感とかあるはず！下手に動くと、出血もしやすいし、流産の可能性もあるの！」

「り、流産！？」

「夫なら、無理やりにでも休ませなさい！それも愛よ！しゃきっとしなさい！」

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