桔梗を探して 7 (ページ18)

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309.孝行息子の回想ページ18

＜ジョンデ＞

ベッキョンが、この家に来てしばらく経って。

復讐の機会を伺っているのに、ミンソギヒョンは、未だにゴーサインを出してくれない。

『ミンソギヒョン…まだ？』

『お前は…まだ、ベッキョンを殺したいと思ってるのか？』

『え？』

『ベッキョンと、関わったか？』

『…あぁ。クズだろ。俺の父さん苦しめた上、麻薬をこの家に持ってきて…さらにここの住人苦しめて』

『それは…客観的だな。お前が関わってみて、どうだったと聞いてる』

『…クズだよ』

『ベッキョンは、Aを抱くのを拒否したぞ』

『…は？』

『嫌なんだそうだ。Aと自分自身が俺に利用されてるみたいで』

『…利用…』

『お前は、父親を尊敬してるんだろう？』

『はい。優しい父親です。だから、そんな父を苦しめたベッキョンが、憎いんです』

『そうか…お前は孝行者だなぁ…』

『…人を殺そうとしてるんですよ』

『父親のために、だろ？』

この人が父親、と言うと、すごく不思議な感じがした。

それに…なんとなく、ミンソギヒョンは、俺の復讐心を…消そうとしている気も、した。

『あ、ジョンデ！ミンソギオッパの部屋にいたの？』

『う、うん…A、どうしたの…？』

『前、れんあいって教えてくれたでしょ？あれね、ベッキョナが一緒にしないかって言ってきてね…』

『は？』

『ジョンデせんせーに、聞こうと思って！』

『先生、なんて…』

『ベッキョナと私、れんあい、できると思う？』

『…ベッキョンは、やめといた方がいいよ』

『ジョンデは…ベッキョナのこと、嫌いなの…？』

『なんで、そう思うのかな？』

俺はAに微笑む。

『ベッキョナが来てから…ジョンデ、作ったように笑うから…』

Aは…気付いていた。Aだけ、気付いていた。

『ははっ…よく気づくね、Aは…きっと外の世界に出たら、モテモテだよ』

『もてもて…？』

『あー…いっぱい恋愛、できると思うよ』

『ほんと！？外の世界…か…』

Aは外の世界に憧れつつ…この家を出るのは、寂しいようだった。

「恋愛、たくさんしなよ。あぁ、Aは…セフナと、かな」

長年の恋が実るって…すごいね、セフナ。

Aといっぱい恋愛するんだよ。

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