250.本当に望んだこと？ ページ6
＜チャニョル＞
「ふーっ！準備完了！」
俺、ギョンス、ジョンデ、ジョンインの4人で食材の準備を終えた頃。
「わぁ〜すごい…久しぶりだぁ！」
「ちょ、あんまはしゃぐな」
Aとセフンが、2人で…手を繋いで、やって来た。
妊娠した、と分かってから、Aとは初めて会う。
どう接したらいいのか、分からない。
どういう顔をすればいいのか、分からない。
俺はつい、俯いた。
「A、体調は大丈夫？」
ジョンデはいつも通りの明るい声だ。
「うん！早く食べたい…」
Aも、いつも通り…
「ギョンスヒョン、さっきまでこいつヒョンの作ったチキン食べてた」
セフンも、いつも通り…
「そうか…A、太るぞ」
ギョンスも、いつも通り…
「今くらいが1番可愛いよ、A！」
ジョンインでさえ、いつも通り…
…なんか、バカみたいだ。
俺だけ意識して…バカみたい。
俺は顔を上げる。
ふと、Aと目が合った。
Aは…
俺から、すぐに目を逸らした。
ズキッ
胸が掴まれるような痛みがはしる。
いつも通り、なら、今Aはどうした…？
俺に微笑んだ？
あの、笑顔を、俺に向けてくれた…？
目を逸らしたのは…どうして？
妊娠は、本当に、君が望んだこと…？
『…自分のしたいことに、ちょっと素直になろうと思って。そしたらね、チャニョルに甘えたくなったの』
A…あれは全部、嘘だったの…？
「チャニョリヒョン」
脇腹を、ジョンインに小突かれる。
「その顔、やめてください」
こそっと、囁かれる。
「今…どんな顔してた…？」
「…今にも泣き出しそうって顔です」
ジョンインはそう言って、サッと俺から離れる。
…そりゃあ、目も晒したくなるよな。
「わぁ、すごい…こんなの作ってたんだ…」
声のした方を見ると、レイさんとスホヒョンが来ていた。
「あれ、スホヒョン…2、3日寝るんじゃ…」
ジョンインが驚いてスホヒョンを見る。
「あぁ、大丈夫。細かいことを気にするな、男だろ」
「スホヒョン、珍しくめちゃくちゃな理論…」
「ジョンイナ、気にしすぎる男はモテないぞ？」
「もてるって何？」
「あー、えっと…Aは知らなくていいかな！」
そう言って笑っているみんなの中には…俺は、入れなかった。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年8月8日 21時
