桔梗を探して 6 (ページ45)

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288.私の代わりを作ってページ45

＜ミンソク＞

あぁ…

はは…急に…糸が、ぷつんと切れたように…

『今までずっと隠してきたんだろ、自分が大腸癌でもうすぐ死ぬってこと。それが俺にバレて、気が抜けたの？だからこんな突然体調悪そうになったの？』

『それともAが妊娠したから安心して気が抜けた？』

どうして、そんなに怒ったような言い方をするんだ。

俺は、散々お前を苦しめた。

俺が死んで、清清するだろう。

『私が居なくなっても…代わりを、作るでしょ、あなたは』

『A…俺は、もうお前の代わりなんて作らないよ』

『作って』

『え？』

『私…ここを、出たいの』

『そんなことは、許さない』

『だから…私の代わりを作って…生きて』

『ん？』

『私が、あなたの生きがいなんでしょ…っ…だから代わりを作って…長生き、して…っ…』

『A…お前…』

『あと1ヶ月なんてっ…そんなの、嘘…こんなにしっかり立って、しっかり私のことを見てる！死なないから…あなたは…そう簡単には…』

『お前、いつ、それを…』

『だから、代わりを作って。生きて。長生き、してね。知ってるんだから。私たちが死んでも悲しくないように、嫌われようとしてるの…知ってるんだから！』

『…そんなこと、するわけがないだろう。俺は君をたくさん苦しめた。ここまでするか？普通』

『…可哀想な人…』

『…何がだ』

『あなたは、人の愛し方が分からなくなった、可哀想な人』

『…やめろ、A』

『変わらない愛は、あるの…あなたがAさんを愛したっていう過去は、変わら、』

『A！！！』

『っ…』

『ジョンインと喧嘩したと嘘をついて、そんなことを言いに俺をあの部屋から遠ざけたのか』

『…ほら、よく見てるじゃない、私のこと。1番、私と向き合ってくれたのは、ミンソギオッパ、』

『帰るぞ、A』

「そんなんじゃ、ないさ…俺は、楽しんでたよ、6年間…」

レイと、セフンと、Aが何やら脱出計画を始めてから今までの6年間。

まるで…居もしない子どもたちと、戯れているようで…楽しかったよ。

「楽しかったよ…」

「老いぼれは、独り言も多いんだな」

目を開けると、スホが、俺を見下ろしていた。

「スホ…」

「どうやら、俺だけらしい。あんたが死ぬのをちっとも悲しいと思わないのは」

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