桔梗を探して 6 (ページ42)

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285.森を抜けてページ42

＜チャニョル＞

かなり、歩いた、冷たく、暗い地下道。

「あ、チャニョリヒョン、あれ！」

「ん？」

ジョンイナが前を照らす。

「あ…行き止まり…じゃなくて、扉？」

鉄の扉…俺はそれに触れ、ドアノブに、手をかける。

「この先に、いよいよ、街が、あるんですかね…！？」

ジョンインがキラキラとした目をする。

「…行くぞ」

2人が頷いたのを見て…俺は、ゆっくり、扉を開けた。

キィーッ…

チュンチュン、と、小鳥のさえずり。

「わっ、まぶし…」

「え…森？」

鉄の扉の向こうに広がっていたのは…森、だった。

「街じゃ、ない…」

途端に、気が抜ける。

四方八方を木に囲まれている。

「地下道は…森に繋がってる、だけ…？」

「いや…そんなはず…」

ジョンデは考えるような仕草をする。

「ジョンデは、扉を見ただけで、実際に来てはないのか？」

「うん…でもその扉は街に繋がってるって…それを俺は、信じて、た…」

信じて、いた、か…

「まだ、終わってない。この森を抜ければ、街かもしれない」

「…そうだな、チャニョル」

「まだ絶望するには早いですよね…」

信じることは、愛の代わりになれるんだ。

愛の…代わり…

「チャニョリヒョン？」

「ん？いや、行こう！」

「…行こうって言ったって…木しかないよ、周り」

確かに…ええっと…

「こっち！右に進もう！」

「…なんの根拠ですか、チャニョリヒョン」

「え、な、なんとなく…」

「ジョンデヒョン、俺は左の方がいいと思います」

「…チャニョル、左に行こう」

「…はーい…」

そりゃそうですよね…方向音痴で迷ってここにたどり着いたんだから…俺を信じない方がいいよね…。

「ちょっと待ってね」

ジョンデは落ちている長い葉っぱを拾う。

「これを、近くの木に括り付けながら行く。そしたら目印になって、戻りやすくなる」

「すごい…ジョンデヒョン頭いい！」

「あはは…金は無いけど学は有るんだ」

「さすがジョンデ…よし、これで迷うこともない！行こう！」

俺たちは左に体の向きを変え、歩く。

ひたすら、歩く。

歩く、と。

「あ、道路！」

「本当だ！」

しっかりと、コンクリートでできた道路。

そして…

「チャニョル、あれ！」

ジョンデが指差した道路標識…

「矢印の通り行けば、街だ！」

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