桔梗を探して 6 (ページ5)

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249.グレーに染まれページ5

＜ベッキョン＞

俺はというと、部屋のベッドに寝っ転がり、ぼーっとしていた。

今の気持ち？

…後悔と、後悔と、後悔。

もうその文字がゲシュタルト崩壊してる。

考えれば考えるほど、後悔っていう文字が浮かんで頭の中で増殖する。

「どうして…」

布団をぎゅっと抱き締めてみる。

違う。

彼女はもっともちもちしてて…

この布団ほど白くない。

柔らかい唇がそこにはあって…

俺がキスをすると、ふふっ、って笑うんだ。

「愛してるよ」

そう言うと、嬉しそうに口角が上がって…

彼女は、愛されるのが、好きだから。

…あの人にも、愛されたかったのか？

「俺は…お前のそばで、もっとお前を、愛したかった…」

ぎゅっと布団を抱き締める。

じんわりと、白かったはずの布団が、グレーに染まっていく。

醜い感情が、布団に吸い取られていく。

…あの時、抱くのを拒否していなかったら、もしかしたら、俺が…

ぎゅっと強く布団を抱き締める。

もっと、染まれ。

俺の中の醜い感情を、吸い取ってくれ。

全て…全て、吸い取ってくれ…

涙が溢れて、止まらない。

声を出すこともなく、ただひたすらに、俺は泣いた。

『Aの側にいる理由なんて、そんなの決まってるじゃん！Aを愛してるから、でしょ？』

「愛していても、側にいれない人間は、どうしたらいい…？」

教えてくれよ、チャニョル。

お前も、俺と一緒だろ。

『あ、えっと…ジョンイナ、ちょっとは…俺も、Aの側にいたいんだけど…』

『なっ、チャニョリヒョン、こんな場面で嫉妬ですか！？』

『わー、チャニョル醜ーい』

『だって…俺もAを愛してるから側にいたい！！』

醜いのは、俺の方だ。

どんどん布団が、グレーに染まっていく。

『いつかこの世界から足を洗って、素敵な人と出会って幸せに暮らすことを祈っているよ』

「ジョンデのおとーさん…その人は、Aじゃないらしいよ」

諦めが、肝心だ。

『あんたは諦めが悪いんだから』

『…それはお前もだろ、ベッキョン』

「…あぁ、そーだよ」

布団から顔を離す。

あの布団が完全にグレーに染まるには、まだ時間が必要なようだ。

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