桔梗を探して 6 (ページ34)

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277.トイレ行っていい？ページ34

＜チャニョル＞

「セフンなら…安心してAを任せられる」

　トントン

ノック音が聞こえ、返事をする。

　ガチャ

「あの…」

少し気まずそうに、セフンが入ってきた。

「セフナ…どうしたの？」

「あぁ…えっと…」

「セフナ？」

「その前に、さ」

その前って、どの前だよ、と突っ込みたい気持ちを抑えて。

セフンは真っ直ぐに俺を見た。

「俺、Aを幸せにしますから」

セフンはAの肩を抱き寄せ、力強くそう言った。

「…うん。信じるよ、セフン」

「…はい」

セフンはAの顔を見て、笑った。

Aも笑っている。

…良かった。

「で、他に何か言いたいことあったんでしょ？」

「あ、はい、実は…地下道への扉、見つかりました」

「ほんと！？」

びっくりして、喜ぶ俺、とは、違って…

Aは、少し寂しそうな顔をしている。

「はい。まだ…階段を降りてはないけど…」

「行ってみようよ！」

「え？あー…えっと…」

セフンはAの顔を見る。

…ミンソクさんを、この家に置いていく、と思ってるのかな。

「大丈夫。また戻ってくるよ」

「チャニョル…？」

「一旦、行ってみよう。本当にその地下道が街と繋がってるのか分からない。丘から見て街は遠く感じたし、俺が迷ったキャンプ場からは10km以上離れているらしいから…体力のある人、かつ、外の世界についてより知っている人。階段は老朽化してる可能性があるから…３人くらいがいいな。となると、外の世界を知ってる、という面では俺と、ジョンデ。ベッキョンは捕まる可能性がある。あと体力面でいうとジョンインかな」

「…普段からその頭脳発揮できないんですか」

セフンは呆れたように俺を見る。

「え、えっと…なんかすごい頭回ってたね、今…はは…」

自分でもびっくりした。

でも、希望が目の前にある人間って…活力がすごく出てくるんだな。

「分かった。じゃあチャニョリヒョン、来て」

部屋を出る。

廊下の突き当たりに…扉が出現している。あれか。

「チャニョル…行くのか？」

「はい。俺と、ジョンデと、ジョンインで行きます」

「…分かった」

ジョンデとジョンインが頷く。

「…気をつけてね」

Aが心配そうに言う。

「うん！」

「行こう、チャニョル…チャニョル？」

「…あの、その前にトイレ行っていい？」

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