247.主張する熱 ページ3
＜チャニョル＞
今日の、昼ご飯の時。
セフンとAとスホヒョン以外が揃っている場で、それは発表された。
『さぁ、みんな食べ終わったかな。今日は、嬉しいお知らせがあるんだ』
なんだろう、橋が直るとかかな、なんて、俺は呑気に考えていた。
でも、ギョンスとジョンデが俺の顔を見て…
ベッキョンは目を閉じて顔を上に向けた。
ジョンインは俯いて、ギュッと膝の上で拳を握って…
レイさんは元から…食堂に来た時から、どこか上の空だった。
『Aが、妊娠したんだ！』
『え…』
びっくりして周りを見た。
ギョンスとジョンデは、しまった、という顔をしていて。
ジョンインは相変わらず俯いていて。
ベッキョンはふーっ、と空に息を吐いて。
レイさんは…無反応だった。
混乱して頭が真っ白になる俺とは違って…
なんというか、みんな…この時が来たか、っていう感じだった。
『おめでたいだろ！！今夜もパーティだな！』
ミンソクさんはそう言って嬉しそうに食堂を去って行った。
俺は…何も、考えれなくて。
頭が真っ白で。
気付けば、Aと夕陽を見たこの丘に来ていた。
涙を流すわけでもなく。
何時間もぼーっとして。
次第に日が暮れて気温が下がっていくのが分かって。
自分の中の熱も少しずつ少しずつ…1時間に0.5℃くらいのスピードで、収まっていった。
ジョンインと共に食堂に行く。
「あぁ、ジョンイナ、チャニョル」
厨房ではギョンスが忙しそうにしている。
「ギョンスヒョン…何やってんの？」
「今夜、バーベキューにしようかなって思って」
「バーベキュー…」
来た初日に、Aがミンソクさんに頼んでやってもらったバーベキュー。
…A、が…
熱が、また上がる。
「今ジョンデが食料庫から食材運んでるからさ、手伝ってあげて」
「わかりました、チャニョリヒョン、行きましょ」
A…
「チャニョリヒョン！」
「あっ！ごめん、ぼーっとしてた…」
「…大丈夫ですか？部屋で休んでてもいいんですよ」
「う、ううん！行くよ！」
部屋にいたら…1人でますます、色々考えてしまう。
動いて、一旦、忘れよう。
「バーベキューかぁ！楽しみ！」
愛とは、厄介な感情だ。
君を愛し、君に愛された、たった1週間ほどの感覚が…
こびりついて、熱を発して、その存在を主張してくる。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年8月8日 21時
