桔梗を探して 6 (ページ20)

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263.いつ言われたっけページ20

＜チャニョル＞

「あー…やっぱ1人はだめだな…」

二日酔いで頭が痛くて動けず…

でもやっぱり部屋で1人だと、色々考えてしまう。

本当に、Aは妊娠を望んだのだろうか…

こんなことを考えると、お腹の子どもに悪いから、あんまり考えたくないけど。

でも。

『…愛されたくて…嫌われたくなくて…周りに合わせてたら、自分が本当は何をしたいのか、分かんなくなっちゃった…』

俺と、出会ってすぐに、打ち明けてくれた悩み。

『はじめて、だったの…私を否定せずに、受け止めてくれた人』

そう言って目を伏せて…微笑んだね。

『私、行く…外の世界…でも、みんなでがいい！ベッキョナもギョンスもジョンデも歌がすっごく上手なの！セフナもジョンイナもレイもダンスが上手でね！スホの歌も…聞いてみたいな。だからみんなで、外に出るの』

あの暗い地下室で、君は希望を持った。

『チャニョルが言ってくれたでしょ？愛されようとすると周りの目を気にして自分を見失うって…』

だから、君は素直になって…自分のしたいことをするって…言った…。

『…ジョンイナにね、チャニョルのことを考えると、胸がきゅってなって、顔が熱くなるって言ったの…そしたらね、それは恋だよって言われて…』

『…私は、チャニョルのこと考えてたよ』

そんなに、素直になられたら…俺は熱くなりすぎて…蒸発してしまうよ。

『じゃあ私もチャニョルのこと好きだから、恋人になろ！』

『…はやく、ここを出て、チャニョルと付き合う…約束だよ…？』

突然君はそう言い出して…誓いのキスを、交わしたじゃないか。

『…連れてって、色んなところ』

まだ、その約束も…果たせてない…

『ここを出たら…チャニョルの家に居させてよ。ここ以外に、居場所、無いもん』

『じゃあチャニョルがいれば、私の居場所はどこにでもあるんだ！』

あるよ、俺のそばに、いつでも、あるよ…

『チャニョルは、私とどこに行きたい？』

どこへでも、いいんだ、一緒なら…

『ここを、出て…チャニョルと暮らすのが、すごく楽しみなの…』

『チャニョルとここを出て付き合うことが、私の希望なの』

その希望を…今、君は…。

全部、嘘だったの…？

『嘘なんかじゃない！！！』

「え…？」

Aの声で、脳内で再生される。

いつ、言われたっけ、今の…。

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