桔梗を探して 6 (ページ13)

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256.本音のベランダページ13

＜ジョンデ＞

「ふぅーっ！重かったぁ！何こいつ！！」

「ベッキョンが飲ませたんだろ…」

俺が呆れた声を出すと、ベッキョンは口を尖らせる。

無事チャニョルを部屋のベッドまで運び終わった。

「だって…飲まないとやってらんないだろ」

「のくせに自分は飲まないんだな！」

「…記憶飛ばすのが怖い」

ベッキョンはボソッと言って、窓を開けてベランダに出た。

俺もベランダに出て、柵に寄りかかる。

「いつまで、Aの近くに居れるのか、分かんないだろ」

ベッキョンはそう呟き、柵の上で腕を組んで頭を乗せる。

冷たい夜風が俺たちを包む。

「ベッキョンは、Aのことが好きだもんな」

「フン、好きってもんじゃないよ」

…知ってるよ。愛してるんだろ。

お前のことを、憎いと思いながらもずっと見てきた。

「意外だったって、俺に言ったろ」

「ん？」

「俺が、Aを助けたいって思うようになるなんてって」

『…意外だったんだ』

『何が』

『ベッキョンが、Aを助けたいって思うようになること』

『…』

『ベッキョンってさ、来た最初の方は…表面上ではみんなと仲良くするけど、内心誰も信用してない、みたいな感じだったし…ここの生活を気に入ってるみたいだったからさ』

『…最初だけな。結局、ここでも利用されることに気付いたから。俺はもううんざりなんだ』

「うん、言ったね」

「利用されることに気づいたからって答えただろ、俺」

「うん」

「…そんなんじゃ、ないよ。いや、それもあったけどさ。Aは、ここよりも外の世界で暮らす方が幸せだろうと思ったんだ」

ベッキョンは遠くの方を見る。

俺もベッキョンの目線の先を見る…木しか、見えないな、ここからは。

「でも、Aはどこか…ここから出たくないような感じもしてた。でも俺はそれを無視して…ミンソクにかけられた鎖を解いて、ここから出させてあげようと思ったんだ」

俺は黙ってベッキョンの話を聞く。

ベッキョンが本心を話すことなんて、めったにない。

「でも、Aはチャニョルと出会ってから、変わった。本気でここから出ようとしていた。俺は…悔しかったよ」

いつのまにか取られていたフード。

ベッキョンの髪は、ふわふわと風になびく。

「劣等感なんて…愚かな人間が抱くものだ。恋愛なんて…愚かな人間のする行為だ。そう、思っていたのにさ。結局…俺だって、愚かな人間だったんだ」

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