桔梗を探して 3 (ページ10)

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106.自分を騙すページ10

＜セフン＞

『はぁ…はぁ…A…ごめん…』

はじめてAを抱いた時…俺は…泣いた。

『どうして、セフナが泣くの？気持ちよかったよ』

そう言いながら見せるAの笑顔が…辛かった。

でも、何度も抱くうちに、そんな感覚も麻痺した。

『セフナ、今夜もよろしく頼むよ』

『え、ミンソギヒョン…今日も？』

『…ベッキョンが、夜の相手を拒否した』

そう聞いた時の俺…

今思い返しても情けない。

嬉しい、Aを自分だけのものにできるんだ、って…。

でも、それも…自分を、守るためだ。

この家の外に、俺の居場所はない。

レイヒョンは、Aを抱くことを拒否したから消えた。

大好きなAを抱けて、居場所を守れるなんて…最高じゃないか、と。

どんどん、自分を、騙すようになった。

「はぁーっ…全部言い訳だよ」

俺は枕に顔を埋める。

結局は、Aを抱きたいだけだろ。

…そーだよ。

「1ヶ月…」

『1ヶ月以内にAが妊娠しないようであれば、俺はお前を愛せなくなる』

「…しないさ」

1ヶ月分のピルはある。大丈夫。

その間に…なんとか、しないと。

Aだけでも…あわよくば、自分と、Aだけでも？

…そーだね。

俺は昔から、自己中心的な人間だったじゃないか。

「はぁ…」

『…変わらない愛などないんだよ、セフナ』

「変わらない、愛…」

『桔梗の花言葉はね、”変わらない愛”だよ』

レイヒョンが、そう言ってた。

『セフン…俺の母親の名前も、Aなんだ』

チャニョリヒョンはそう教えてくれた。

しかも、ヒョンの母親…桔梗が好きだったらしい。

俺の部屋にも、桔梗の柄の家具があったりする。

そして新しく今日分かった…ミンソギヒョンの元奥さんは、チャニョリヒョンの母親…

誘拐してきた子を同じ名前にし、好きな桔梗を部屋のインテリアとして飾る。

「全然変わってねーじゃん」

ミンソギヒョン、Aさん…チャニョリヒョンの母親に、未練タラタラじゃん。

ミンソギヒョンの嘘つき。

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