桔梗を探して 3 (ページ41)

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137.いい父親でしたページ41

＜チャニョル＞

「独立の誓い、持ってます。それを飲ませればいいんですね？」

『持ってるのか！すぐ飲ませてくれ！』

「はい。ギョンス、立てる？」

「う、うん…」

ギョンスはゆっくりと立ち上がる。

「でも、俺が飲んだら、ジョンデは…？」

…そうだ。ジョンデ。

もう1人、服従の呪いに侵されている人がいた。

「おとーさん、あんたは独立の誓い、持ってないの？」

ベッキョンが言う。

『…手に入れるのは難しいが…ギョンスが世話になってる友達のためなら、用意しよう』

…やっぱいいお父さん…。

「ありがとうございます！」

これで、外に出てもギョンスのお父さんから独立の誓いを貰えば、ジョンデも大丈夫だ。

「ギョンス、ジョンイナに貰ってきて！」

「う、うん！」

ギョンスが部屋を出ようとすると。

『ギョンス、待ってくれ』

お父さんが呼び止める。

『…すまなかった。厳しく育てすぎた…お前が出て行って、反省した。お前は優しいのに…俺がたくさん色んなことを強要して…お前自身を抑圧していた』

「父、さん…」

『…むず痒いな。ギョンス、早く独立の誓いをもらってきなさい』

「…うん。ありがとう」

ギョンスは俺とベッキョンの顔を見て、にっこりと笑って外に出た。

「お父さん…ギョンスは、本当に優しい人です」

『ははっ…そうだろう。誰に似たんだかな』

「…きっと、お父さんですよ」

『俺に、か？』

「息子想いの、優しいお父さんに、似たんだと思いますよ」

『あっはっは！！俺は平気で人を殺すんだぞ！！面白いことを言うなぁ！！』

あ、そうだった…この人…ヤのつく職業の方…。

『…ギョンスを、よろしくな』

「は、はい、分かりました」

『…いつでも帰ってきていいと、伝えておいてくれ。じゃあな』

照れ臭かったのか、俺が返事をする前に電話は切れた。

「…つまんねーの」

ベッキョンはボソッと呟いた。

「なんだよ、結局いい父親でしたーって」

「ベッキョン…」

ベッキョンは、親と確執があるんだよな…。

「まぁいいよ！そうだったのか…独立の誓いって、執着の呪いだけじゃなかったんだな…」

ベッキョンは呟いて、立ち上がった。

「よし、まだ帰ってこないみたいだな。ちょっと、探ってみるか、この部屋！」

「え、ベッキョン！？」

ベッキョンは真っ先にとある棚の前に行く。

「アンネフランクかよ」

その棚を動かすと…扉が出現した。

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