桔梗を探して 3 (ページ33)

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129.アイデンティティページ33

＜ギョンス＞

「そうして俺は、ミンソギヒョンに連れられて、この家に来た」

『今日からこの家に住む、ギョンスだよ』

ミンソギヒョンが、みんなに俺を紹介してくれた。

『うわぁ、新しい人だ！』

Aは俺に、眩しい笑顔を向けてくれた。

『A…に、睨んでるよ…』

ジョンインがAの手を引っ張る。

『あ、ごめん…ちょっと目が悪くて…』

俺がそう言って笑うと。

『ギョンス、笑ったら口がハートの形になるんだね！かわいい！』

『か、かわいいなんて…』

『うんうん。Aの言う通り。ギョンスの笑顔は素敵だねぇ』

レイヒョンは柔らかい笑みを浮かべてそう言った。

『また男かよー…女の子がよかった』

『セフン、Aがいるでしょ。ギョンスか。よろしく』

スホヒョンも俺に微笑んでくれた。

『…まぁ、仲良くしてあげないこともないでとぅ』

A、ジョンイン、レイヒョン、スホヒョン、セフン、そしてミンソギヒョン。

ここのみんなは、俺のことを暖かく受け入れてくれた。

『ギョンス、料理、できるの！？』

『え？う、うん…まぁ…』

料理には興味があって、昔からよくお手伝いさんの手伝いをしていた…よくそれで怒られてたけど。

『助かったーミンソギヒョンの下手な料理食べるのもう嫌だったんでとぅよー』

『セフナ～聞こえてるぞ～』

『げ、ミンソギヒョン』

『じゃあギョンスが作ってくれるか？』

『え、い、いいですけど…』

そして初めてみんなに料理を振る舞った。

『すっごい！料理って、こんなに美味しいものなんだ！』

『本当でとぅね！』

『Aーセフナー？どういうことかな、それはー』

『ミンソギオッパ…ごめんなさい…』

『あはは！いいんだよ！本当に美味しいよ、ギョンス！』

『あ、ありがとうございます…』

『毎日作ってほしいくらいだ…』

スホヒョンが呟く。

嬉しいな。

スホヒョンってあんまりみんなと一緒にいなくて、どんな人だろうって怖かったけど。

『毎日こんな料理が食べれたら、幸せだろうなぁ…』

ジョンインが呟く。

『うんうん。ミンソギヒョン、ギョンスさえ良ければ、毎食作ってもらおうよ！』

レイヒョンの提案で、俺はその日から毎日料理を作るようになった。

…すごく、嬉しかった。

ここの人は、本当に優しい。

料理、というアイデンティティも得られて。

俺は、この生活が大好きだった…

3年前までは。

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