桔梗を探して 3 (ページ18)

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114.単純かつ厄介ページ18

＜チャニョル＞

「ジョンイナは既に、気持ち的な面では、執着の呪いからは解放されてるよ。俺に言ったじゃん、Aをよろしくお願いしますって。あれ、どういう気持ちで言ったの？」

「…チャニョリヒョンなら、Aを幸せにできると、思ったから…ヒョンに、Aを任せたいって、思ったから…」

ジョンインは俯きながらポツポツと言う。

「でも執着の呪いって、その名の通り、Aがいなきゃダメになる薬のはずだよね？その薬が効いてるならさ、そんなこと、言えないはずなんだ」

ジョンインはハッとしたように俺の顔を見る。

「あとは、体だけだ。体だけが、取り残されてる。愛するっていうのは、本来自由なもののはずだよ。薬なんかじゃ、制御できないんだ…自由に、してあげよう。体も」

ジョンインは顔を歪める。

「でも…Aの側にいる理由が…無くなる…」

「Aの側にいる理由なんて、そんなの決まってるじゃん！

Aを愛してるから、でしょ？」

「っ…！」

ジョンインは、繋いでいたAの手をそっと離した。

「…何度も、飲もうとしました。Aと離れなきゃいけない夜は、苦しくて、苦しくて…。

でも、何度も、捨てようともしました…執着の呪いのおかげで、俺はAの側にいれるんだって思って…」

「ジョンイナ…」

Aは涙目でジョンインの手を握る。

「そんなんで、いいのか…愛してるから側にいる、なんて…そんな単純な理由で、良かったのか…」

ジョンインは涙を流しながら、Aを見て微笑んだ。

「人間の感情の中でも、愛ってトップクラスに他人が止めづらいものだと思うよ。単純だけど、厄介なんだ」

じゃないと、ゴシップ記事にあんなに不倫の文字は踊らないし…アイドル文化だって、賑わっていない。

歪んだ形の愛だってあるけど…それは、ジョンインとは無縁みたいだな。

「A…薬が無くても、側にいてくれる…？」

ジョンインはAの両手を握って、見つめる。

「当たり前だよ、ジョンイナ」

Aはジョンインに微笑んだ。

あの…だけど…

「あ、えっと…ジョンイナ、ちょっとは…俺も、Aの側にいたいんだけど…」

「なっ、チャニョリヒョン、こんな場面で嫉妬！？」

「わー、チャニョル醜ーい」

「だって…俺もAを愛してるから側にいたい！！」

あ…

すっごいド直球に言ってしまった…本人、そこにいるのに…。

や、厄介だな、愛って…。

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