桔梗を探して 3 (ページ16)

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112.人を愛するページ16

＜チャニョル＞

「そんで、この独立の誓いっていう薬。執着の呪いを無効にできる、希少なブツなんだ」

「じ、じゃあ早くジョンイナに飲ませてあげないと！」

「待てよ、チャニョル。レイヒョンがこの薬を手に入れたのに、ジョンインに渡さないわけないだろ？」

あ、そっか…。

「じ、じゃあ…ジョンイナは…」

「自分で、飲まない選択をしたんだろ」

…どうしてだろう。

あんなに苦しそうにしていたのに…

「はーっ！俺には分かんない！」

ベッキョンはもう一回ベッドに体を沈めた。

…そもそも、執着の呪いって薬、何のために？

「これを飲ませたのって…たぶんミンソクさんの意志だよね？」

「うん。そーだろうね」

「なんの、ために？」

そう聞くと、ベッキョンは呆れたような顔をした。

「…チャニョル、お前、ジョンインのこと、邪魔、って思ったことはないか」

「じ、邪魔…」

その言い方はひどいけど…

確かに、Aとキスしようとしてジョンインに遮られて…ジョンインのばか！って思ったことはあるけど…

「あるだろ？ジョンインを常にAの側にいさせることで、俺たちがAに余計なこと吹き込まないようにしてるんだよ。

ジョンインは両親を殺して逃げてきてるから、ここから出ると、捕まる可能性が高い。Aに執着させてずっと一緒にいたいと思わせて、ここを出るのには反対する立場に置くんだ」

なるほど…そんな効果が…。

「チャニョル、いいか。キムミンソクの厄介なのは、人の気持ちを利用するのが上手いところだ。わざとジョンインを冷遇して、よりAに依存させるようにしたり…スホヒョンについてもそうだ。わざと周りを優遇して劣等感を抱くような環境を作り、自分に依存させたんだろうな」

「人の気持ちを、利用、か…」

聞いてて気持ちのいい言葉じゃない。

「気を付けろ。人心掌握に長けてる、ヤツは」

…確かに厄介だな。

ジョンインは、Aから離れられなくなった…体だけじゃなく、心も、かな。

…でも。

『チャニョルさん、Aを、よろしくお願いします』

『俺は…Aが幸せなら、それでいいんだ』

「…ベッキョン」

「ん？」

「ジョンイナってさ…なんか…人に愛されるより、人を愛する方だと思う」

「…愛する側…？」

ベッキョンは納得のいかなそうな顔をしている。

「うん。本来、人を愛するって、自由な行為のはずなんだ」

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