109.可愛い弟 ページ13
＜チャニョル＞
「ぼーりんぐ！ぼーりんぐも行きたい！」
「ボーリングかぁ…俺すっごい小さい頃に行ったきがする…」
Aとジョンインは、楽しそうに俺の外の話を聞いてくれる。
「俺ビビるほど上手いからね！」
「チャニョルさん、言いましたね。俺に負けたら…チキン、奢ってください！」
「なっ…俺そんなことしなくても奢るよ！」
ジョンインは、やっぱり人見知りなだけで…よく笑うし優しいし…なんか、弟って感じだ。
「…さ、そろそろ自室に戻ろっかな」
「え、チャニョル、帰っちゃうの…？」
Aが寂しそうな顔で俺を見る。
…いや、俺ももうちょっとここに居たいけどさ。
「うん。そろそろベッキョンの掃除が終わる頃だし…色々話したいんだ」
タイムリミット、1ヶ月。
あんまりグダグダしてられない。
「そっか…分かった。また話聞かせてね！」
「うん！もちろん！」
「あ、あの、チャニョル、さん…」
ジョンインは俯き、恐る恐る口を開く。
「俺も…セフンみたいに、チャニョリヒョンって呼んでも、いいですか…？」
…やっぱ弟みたいで可愛いじゃん、コイツ！！
「うん！もちろん！」
「はは…嬉しいな…」
最初、俺のことを不審者だと言っていたとは思えない。
可愛い弟が、できた。
「じゃあね、A、ジョンイナ。また来るよ」
2人にそう言って、部屋を出た。
廊下を歩いて自室に帰っている途中。
「あ、チャニョル」
後ろから声がして振り向くと。
「おう、ギョンス！」
ちょうど階段を上がってきたギョンスが俺に向かって歩いてきた。
「なぁ、」
ギョンスは俺の耳に顔を近づけ、手で口元を隠す…監視カメラ対策？
「ベッドの下、見たか？」
「え？」
「レイヒョンからの、伝言」
そう言うと、パッと俺から離れて、平然と自分の部屋に入って行った。
…なんだったんだ、今の。
レイさんからの伝言…ギョンス、さっきまでレイさんに会ってたのかな。
世話役、って言われてたし。
ベッドの、下？
レイさんが言ったってことは…俺の、部屋の？
とりあえず自室に戻り…
「ベッドの、下…」
ヒョイ、とシーツを上げて見る。
…何も無さそうだけど。
ベッドの裏？
あれ、何か貼り付けてある…
剥がすと…桔梗の柄の、封筒。
中を開けて見る。
「…なにこれ」
そこには、水色の粉が入っていた。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年7月29日 21時
