桔梗を探して 3 (ページ2)

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98.父親失格ページ2

＜ミンソク＞

『ミンソク！決めた！この子の名前、ジュンミョンにする！』

『ジュンミョンか。いいと思うよ』

『ジュンミョン～あ、見て、笑った！』

『え？あ、ごめん電話…会社からだ…』

『…いいよ、出て！ジュンミョナ～、アッパお仕事頑張ってるよ～かっこいいねぇ～！』

「ジュンミョン、か…」

監視室。

右上に、スホ、と表示された部屋のカメラ。

こちらを見る…キムジュンミョンがいた。

…知っていた。

『すみません、ミンソクさん…スホ…いや、ジュンミョンが家を飛び出しちゃって…』

18年前…ジュンミョンが10歳の時。

俺はその日、街に買い出しに来ていた。

突然電話がかかって来て…ジュンミョンの養母からだった。

『飛び出した？』

『はい…私たちが本物の親じゃないってことを教えたんです…10歳だから、そろそろ言ってもいいんじゃないかって』

養母からはたまに連絡が来た。

ジュンミョンを可愛がってくれているみたいだった。

今のこの豪邸に住むと決めた時には…ジュンミョンはもう他人の子だから、と思っていた。

養母はよく近況報告をしてくれていた…彼らがジュンミョンをスホと呼んでいたのも、なんとなく知っていた。

『えぇ…ごめんなさい。写真を見せて、ミンソクさんが本当の父だって教えてしまったんです…そしたらあの子、その写真持って家を出て行って…』

電話が終わって、興味本位で彼らの家の近くに行き、歩き回った。

すると、公園で1人の男の子が紙を見ながら俯いていた。

『1人かい？』

この子が、ジュンミョンなのだろうか。そう思って話しかけた。

『うん』

彼は顔を上げ…俺を見て驚いた顔をした。

そして、見ていた紙をポケットに入れた。

…チラッと見えた、その紙。

生まれたてのジュンミョンを抱える俺の妻…Aと、俺の写真。

『お父さんとお母さんは？』

『…家出した』

『うちに、来るかい？』

…その時、もう一度、この子の父親としてやり直せるんじゃないか。

そう、希望を持ってしまった。

でも、

『君の名前は？』

そう聞いた時、

『…スホ』

ジュンミョンは、そう言った。

…そうだよな。

俺は、お前を一度捨てた…父親失格だもんな。

『スホ、か。良い名前だ。うちに来てごらん。君に居場所をあげるよ』

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