桔梗を探して (ページ6)

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5.眠たい子犬ページ6

＜ベッキョン＞

「ふわぁ～あ」

あんだけ寝たのに、まだ眠いし。

あの男…チャニョル、って言われてたな。

どうやってここに来た？

どうして、ここに来た？

そう思いながら、自室へ向かう途中。

「ベッキョン、起きてたんだ」

「お、ギョンスヤ～！」

フードを外して、ギョンスに抱き着こうとしたがさりげなく拒否される。

…全く傷つかないけど。

「玄関、何か騒がしかったけど…」

「あぁ…なんか道に迷ったってびしょ濡れ男が来てさ」

俺はフードを被り直し、ポケットに手を突っ込んだ。

「へぇ…道に迷った、か…」

「何の道だろうねー」

俺は伸びをした。

この家は…色んな道に迷った人たちが辿り着く場所だ。

「…ミンソギヒョンが、呼んだのか？」

「うーん…なんか違う気がする。マジで道に迷っただけな感じ」

「道に迷ったって…ここの周りは森だけだぞ。車で来たのか」

「さぁ、キノコ狩りでもしてたんじゃねーの」

「そんな話、聞いたことないけど」

ギョンスは窓から玄関の方を見た。

俺も同じ方向を見る。

「…土砂降りだな」

雨が窓を叩きつける。

視界はあまり良くないが、パッと見、なにも車らしきものはなさそうだ。

「何にも無さそーだね。身一つで来たって感じ？」

「…本当に迷ったんだとしたら、相当なバカだぞ」

「相当なバカなんじゃない？ふわぁ～あ」

「…ベッキョン、まだ眠いのか」

「いつものことだよ。寝ても寝ても眠い」

「…そうか…」

ギョンスは俯く。

「ギョンス、そろそろ昼ご飯の時間じゃない？」

「あぁ…今日は、ちゃんと食べてくれるか」

「うーん、起きてたらね～また一眠りするわ～」

俺はギョンスのため息を背に、自室に戻った。

…この家に誰か来るなんて…俺がここに来てからは初めてな気がする。

ヤツは、どっちだろう。

敵か、味方か。

「ふわぁ～あ…だから飯食いたくねぇんだよ…」

俺はベッドに体を沈めた。

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