44.彼女の悩み ページ45
＜チャニョル＞
話し終え、電話を切る。
…桔梗にA…ただの偶然か。
俺は部屋を出る。
「あぁ、終わったかな」
扉の前で、ミンソクさんが待っていた。
「はい。ありがとうございました！」
「うん、これで一安心だね、良かった良かった」
ミンソクさんはそう言って微笑みながら、部屋に入って行った。
…拍子抜けだな、なんか。
部屋に帰ろうと二階に上がり、廊下を歩いていると。
スホさんの部屋の前まで来た時、ガチャ、と扉が開いて…
「おっと」
「きゃ…」
スホさんの部屋から出てきたAと、ぶつかりそうになった。
また、Aを抱きとめる形になる。
「ご、ごめん…こんなこと2回目だね…大丈夫？」
俺はAの顔を覗く、と。
「…泣いてる？」
「へ？」
Aは、赤い目で俺を見上げた。
「…ううん、大丈夫」
Aはそう言って、俺を避けて行こうとするけど。
俺は、咄嗟にAの手を掴む。
「待って…」
泣いてる女の子を放っておくほど…俺、男として廃れてはない。
無邪気で笑顔なイメージのAが泣いてるなんて…心配でしかない。
「チャニョル…？」
「あ、えっと…おいで」
特にジョンインとセフンに見つかったら、なんか言われそうだな…と思って、自分の部屋にAを連れ込む…
あれ、勢いで女の子自分の部屋に連れ込んだ！
男として…どうなの！？
…いや、何もしないから。話聞くだけ…俺じゃ、なんの力になれるか分からないけど。
「A、どうしたの？」
Aを椅子に座らせ、俺はベッドに腰掛ける。
「…えっと…えへへ」
Aは目を拭きながら笑った…無理やり。
「無理に笑わなくていいんだよ。あー…俺、頼りないかな…」
「…ううん」
「えっと…スホさんに、何か言われた、とか…？」
「ううん。スホは悪くない」
元気無いし、落ち着いてる…いつものAと、違う。
「…あのね、チャニョル」
「うん」
「…こんなこと言ったら、引かれるし、嫌われるかもしれないけど…
私、本当の自分がわかんないの…」
「本当の自分…？」
Aはポツリポツリと呟くように言う。
「…愛されたくて…嫌われたくなくて…周りに合わせてたら、自分が本当は何をしたいのか、分かんなくなっちゃった…」
合わせてる、か…とてもそんなふうには見えなかった。
周りからじゃ分からない悩みは…誰にでもあるもんな。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年7月24日 21時
