桔梗を探して (ページ44)

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43.思い込みページ44

＜チャニョル＞

「ありがとう、チャニョル！皿洗い手伝ってくれて！」

「ううん！こんくらいしないと！」

今日の皿洗い当番はジョンデだったらしい。

それを手伝い終わって…

「ジョンデ、ミンソクさんって、部屋に居るかな？」

「いると思うけど…あぁ、電話？」

「うん。実家に電話してみようと思って」

「そうしてみなよ」

ジョンデに笑顔でそう言われ。

俺はミンソクさんの部屋に向かう。

トントン、とノックをすれば、

「はい」

と中から返事が聞こえた。

「すみません、ミンソクさん…電話貸していただけないでしょうか…」

「ん？…あぁ、いいよ」

ミンソクさんは食後のコーヒーを嗜んでいたようだ。

にこやかに固定電話を指差してくれた。

「どこにかけるの？」

「あ、実家です。実家の番号なら覚えてるので…一応、心配かけないように事情を説明しないと」

「実家、か…どうぞ。あー、俺は外にいるよ。俺がいると話しづらいだろ」

「あ、お気遣いありがとうございます…」

ミンソクさんは俺に微笑んで、コーヒーを持ったまま部屋を出て行った。

…優しい人、に見えるんだけどな…

でも敵、らしいし…

あ、そうだ。俺の母親と、何か関係があるかもしれないんだった。

もし母さんが出たら、聞いてみよう。

固定電話で実家の番号を打ち込む、

プルルルル…

『はい、もしもし』

「あ、もしもし、母さん？俺！俺！」

『…詐欺ですか？』

相変わらず疑い深くて…良く言えばしっかりしてる。

「違うよ…チャニョルだよ！」

『あぁチャニョル！お友達から電話あったわよ！突然いなくなったって！今日帰ってこなかったら警察に連絡しようと思ってたの！』

「そっか…心配かけてごめん。ちょっとさー…事故に巻き込まれて」

『事故？』

「うん。しばらく帰れそうにないんだ。今、親切な人の家に泊めさせてもらってて」

『そう…災難だったね…でも良かったわ、元気そうで。失礼の無いようにしなさいよ？』

「うん！…あ」

聞いてみよう、ミンソクさんのこと…。

「あのさ、キムミンソクさんって知ってる？」

『キム、ミンソク…？知らないわ、そんな人』

あれ…予想と違う反応。

「…そっか…その人の家にお世話になってるんだ」

…どうやら、母さんとミンソクさんの間に何からの関係がある、というのは、俺の思い込みだったようだ。

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