37.フレネミー ページ38
＜ベッキョン＞
「相変わらず盗み聞きがお好きなんですね」
俺はチャニョルの部屋を出て、すぐ隣のスホの部屋にノックもせずに入る。
「…チャニョルがさっき盗み聞きしてたみたいだったから、お返しだよ」
椅子に座っていたスホは大して驚かず、読んでいた本をパタンと閉じて、俺の顔を見る。
「俺のこと、完全な敵じゃないと思ってくれてたんだね」
ニコッと俺に微笑むスホ…胡散臭。
「味方とは言ってないけど」
「分かってるよ。俺の前じゃフード取ってくれないもんな」
…分かってやがったのか。
売人の時の癖で、俺がフード取るのは味方かもって思った人の前だけ。
「聞いてたろ。チャニョルはただのバカじゃない」
「うん。そうみたいだね…厄介だなぁ」
ふわぁ、とスホはあくびをする…本当に思ってんのかよ。
コイツこそ、俺にとって早く排除したいフレネミーだ。
敵なのか味方なのか、1番分からない。
「ベッキョンは、チャニョル使ってなにするつもり？」
俺に向かって微笑むスホ。
「さぁ。でもAが仲間にしてほしそうだったから」
「質問が悪かったね。Aは、チャニョル使ってなにするつもり？」
相変わらずの笑顔で聞いてくる。
「分からないよ。でも、時間が無い。セフンが言ってた。もうすぐ時効成立だって。そうなったら、ミンソギヒョン倒す切り札が無くなる」
「…お前たちは、外に居場所が無いもんな。だから今まで動けなかったんだろ」
「それはスホヒョンだって同じだろ」
俺はスホを睨む。
「…まぁね」
「スホヒョンとミンソギヒョンの関係性は？」
俺にとって、これが1番の謎だ。
スホはここに居たいのか、居たくないのか。
ミンソギヒョンの敵なのか、味方なのか。
「俺のこと、あんまり探るなよ。自分のテリトリー荒らされてるみたいで好きじゃない」
そう言われたから、俺は机の上に散らかっていた物を触る。
バラバラに積まれた本をきれいに積み直し、ペンをペン立てに戻し、伏せてあった写真立てをちゃんと立て…
「ベッキョン」
写真立てに触れようとした瞬間、スホの手が俺の手首を掴んだ。
「荒らされるの好きじゃないなら、整理整頓してあげようと思って！」
そう言ってやると、スホはハァ、とため息をついた。
「…性格のねじ曲がった男だな、ホント」
「親の教育が悪かったんだよ」
「…そうか。同情するよ」
俺はスホの手を振り切り、部屋を出た。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年7月24日 21時
