桔梗を探して (ページ29)

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28.消えかかる火ページ29

＜チャニョル＞

「…あー…俺やっぱ帰ろっかな」

みんなが笑ってる中…フードを被った男が現れた。

「あ、ベッキョナ！」

Aが手を振る。

ベッキョン、か…最初にジロジロ見られて以来だな。

昼ごはんもいなかったし…ちょっと浮いた存在なのかな…。

「せっかくだから食べていきなよ」

「…ミンソギヒョンが言うなら食べてこーっと」

棒読みのベッキョン。

さっきまで笑っていたみんなが静かになる。

バーベキュー台の火が、パチパチと響いている。

「え、始めないの？」

あなたが来たせいで和気藹々ムードは鎮火しちゃったんですけど…。

「ううん、はじめよ！ね、チャニョル、ばーべきゅーのやり方教えて！」

こういう時にAみたいな子がいると助かる…潤滑剤って感じ。

「う、うん。ここに食材があるから、網に乗せて焼く！そんだけ！」

俺はトングを持って、野菜を網に乗っける。

「そんだけ？外でやるやきにくだね！」

Aが笑顔をこっちに向けてくれる…が。

「本来は調理してから食べるんですよ、ねー、スホヒョン」

「ベッキョン、お腹一杯なら食べなくていいぞー」

「わぁ、色とりどりの食材ですね！美味しそう！」

「ほんとだな。知識と実際見るのとじゃ全然違うな」

…なんだ、このベッキョンとスホさんの歯痒い会話。

微妙に噛み合ってるんだか噛み合ってないんだか、僻み合ってるんだか、いや絶対僻み合ってる会話。

スホさんとそんな会話ができるベッキョン、強いな…。

周りの空気、また微妙になった…

A、は…。

え、固まってる。どうしたんだろ。

「A、野菜焼けてるよ。食べなさい」

「う、うん！ありがと！」

やっぱりミンソクさん強し…Aは我に帰ったような反応をした。

「さ、スホもベッキョンも僻み合ってないで。あぁ、乾杯がまだだったね。ジョンデ、ビールをみんなに配って」

さすが家の主人だな。周りが一斉に動き出す。

「よし、みんなビール持ったね。じゃあ、今日はチャニョルの来訪を祝して、乾杯！」

「かんぱーい！」

カチン、という音があちこちから鳴る。

「ぷはー！おいし！」

「A、おじさんみたいな反応やめて」

「ジョンイナよりは年上だから！」

…あ、そうなんだ…みんなの年齢って、どうなってるんだろ…。

「自由に食べよう！今夜は無礼講だぁ！」

「…お前が言うな、ベッキョン」

すでにベッキョンの顔は真っ赤だった。