21.褒め言葉 ページ22
＜チャニョル＞
「…はい」
ジョンインは少し俯いて…Aをチラッと見て、部屋を出て行った。
「ね、私は手伝っちゃダメ？」
「んー？力仕事は男に任せなさい」
またミンソクさんはAに目線を戻し、優しい顔になった。
…Aはミンソクさんの、お気に入り、って感じがする。
「あの…俺は、手伝っていいですかね…というか、手伝わせてください！」
「…あぁ、チャニョルくん。ぜひ、お願いできるかな」
…ジョンインに向けるのとも違う…よそ行きの顔、ってところかな…。
「はい！頑張ります！」
「オッパ、ありがとう！」
「うん、いいよ〜Aのお願いならなんでも聞いてあげるからね」
そう言って、ミンソクさんはAの頬にキスをした。
…俺見ててよかったのかな…。
「じゃ、オッパまた後でね！」
「ん、もう帰るの？」
「セフナが本買ってきてくれたの！その続き早く読みたくて！」
「ふぅん、どういう本？」
「んっとねー…『コーヒーが冷めないうちに』っていう本！賞取ったやつ何か買ってきてって言ったらそれくれたの！」
「…そう。良かったね。ゆっくり読んでおいでね」
ミンソクさんはAの頭を撫でた。
コーヒーが冷めないうちに、か…。
映画観に行った気がする。過去にタイムスリップする話…だった気がする。
…当時付き合ってた彼女に連れて行かれてめっちゃ寝てた気がする。
「じゃあね〜バーベキュー楽しみにしてるね！」
「あ、俺も、失礼します！」
Aがミンソクさんに手を振って部屋を出て行こうとしたので、慌てて俺も部屋を出た。
「楽しみだな〜バーベキュー♪」
Aはご機嫌に歩いている。
「ミンソクさんとは、仲良いの？」
俺はAに何気なく聞いてみた。
「どうして？」
Aは立ち止まって、俺を振り返る。
「え、どうしてって…仲良さそうだったから…確認というか…」
「ふぅん…」
…まただ。また納得のしていなさそうな顔。
「…チャニョルって、目きょろきょろしてかわいいね！」
「かっ…！？」
Aはにっこり笑ってまた歩き出す。
…かわいいって何！？
自慢じゃないけど、かっこいい、は…言われたことある。
かわいいって何！？
「ね、Aちゃん。それ、褒め言葉？」
「褒めてるよ！チャニョルかわいい！」
「かっ…」
かっこいい、って、言って欲しいけどな…いや、待て。
話題、逸らされたよな、今…。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年7月24日 21時
