20.バーベキュー準備 ページ21
＜チャニョル＞
「…バーベキュー？」
「うん！スホ、知ってる？」
…Aはスホさんのこと、呼び捨てなんだ…分かんないな、関係性…。
「うん、バーベキューは知ってるけど…」
「今晩バーベキューにしよ！準備大変だったら手伝うから…そしたらベッキョナも食べに来るよ、きっと！」
そういえば、ベッキョン昼食べに来なかったな…。
ギョンスは、いつもそうだ、という口ぶりだった。
…食べずに平気なのかな。
俺だったら無理！
「…そうだね。お願いしてみるといいよ。Aのお願いならきっと聞いてくれると思うよ」
スホさんはAの頭を撫でると、そのまま俺とジョンインの顔は見ずに立ち去った。
「さ、行こ！」
Aは何事も無かったかのように、また俺たちの手を引っ張る。
…A…今、スホさんとの会話の裏に、何を隠した…？
いや、Aは純粋で…世間知らずで…。
そんなこと、できる訳がない。考えすぎだ。
パッとAの手が俺から離れ、その手でAは扉をノックする。
「はい」
中から返事が聞こえ、Aは扉を開ける。
「ミンソギオッパ！」
Aは俺とジョンインから離れ、ミンソクさんに抱き着く。
「おっと…」
ミンソクさんの持っていたコーヒーが溢れそうになった。
「…びっくりしたよ、A」
ミンソクさんはコーヒーを机に置き、Aを抱き締め返す。
…例の如くチラッとジョンインを見ると、目線を2人から逸らしていた。
やっぱり、ミンソクさんには逆らえないんだな。
「どうしたの？」
「あのね、オッパ！今夜バーベキューにしよ！」
「バーベキューかぁ。ストックの肉があるかな…」
「あ、そっか…橋壊れちゃったから食料調達できないもんね…大切にしないといけないよね…」
Aはしゅん、とした顔をする。
…えらく説明口調なの気になるけど。
「ううん、Aがしたいんだろ？じゃあやろう。雨も今夜は降らないみたいだし…ギョンスに頼んでみなよ」
「え、いいの！？」
「うん！…ジョンイナ」
「…はい」
ミンソクさんは、Aに向けていたのとは違う目で、違う口調でジョンインの名を呼んだ。
「バーベキューコンロを作りなさい。ジョンデとギョンスと一緒に。そうだな…材料の場所はセフンに聞くといいよ。行っておいで」
ニコッ、と笑うミンソクさん。
チャーミングな笑顔だけど…やっぱり、なんか怖いな。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年7月24日 21時
