桔梗を探して (ページ3)

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2.迷った男ページ3

＜チャニョル＞

「久しぶりの休日ー！！！大自然！開放的～！！！」

「…チャニョルうるせぇよ」

友人が睨む目なんか気にならない。

今日はみんなでバーベキュー！

高校の時の友人たちと久しぶりに再会して、大自然の中でバーベキューをしようという話になったのだ。

「社会人になるとさー、こんな所なかなか来れないじゃん？だからつい興奮しちゃうわけよ！」

「チャニョル～、お前マジで方向音痴だから、気を付けろよ？」

「大丈夫だって！スマホあるし！」

「…ここ圏外だぞ」

「え、嘘…ま、そんだけ自然に集中できるっていうことね！」

「さすがハッピーウイルス。ポジティブなの変わんねーな！」

…そう笑い合った10分後のことだった。

「…ここどこ」

見事、伏線回収。

久しぶりにキャッチボールでもするか！なんて一緒に来てた友人が言い出して、それに乗ったのが運の尽き。

ボールは林の中に転がっていって…それを追いかけるうちに、道が分からなくなってしまった。

「林っていうか…森じゃん」

四方八方を木に囲まれ、もはやどの方向からここに来たのか分からない。

「スマホ…そうだった、圏外…」

何も当てにならず、とりあえず勘だけで進んでみる。

「…さらに奥に行ってる気がするんですけど」

あぁ、お腹すいた。

バーベキュー…俺肉食べに来たのに！

そして、なんだか嫌な予感。

空が…急に暗い。

「…今日、雨予報だったっけ」

そう呟いた瞬間。

ポツリ、と雨が頬を伝った。

「あははー…これ、最悪じゃない？」

どんどん激しくなっていく雨で、さらに辺りは暗くなる。

「やべぇ…急に絶体絶命だ…誰かー！！いませんか！？誰かー！！」

叫び声は、木々に虚しく消えていく。

と、暗いのが功を奏したのか、歩いていく内に遠くに明かりが見えはじめた。

「あ、誰かいるのかな！？」

急いで、明かりに向かって走る。

見えてきたのは…黒い柵で囲まれた、大きな建物。

家、かな…。

さすがにあの大きさで明かりがついてたら誰かいるだろう。

そう思って近づくと、玄関は開いていて、人の影が見えた。

「ビンゴ！」

黒い門をくぐり、走ってその人影を追う。

あ、やば、玄関のドア閉まりそう…

「あの～、すみません。道に迷っちゃったんですけど…」