14.住人と不安 ページ15
＜チャニョル＞
「ギョンスが笑ってるなんて、珍しいな」
背後から声がし、パッと振り向くと。
「…スホヒョン」
ギョンスは途端に真顔になった。
そうか、スホさん…ミンソクさんと対等に話してた人…。
やっぱりこの家では偉いのかな。
「チャニョルくん、こんな所にいたんだね、探したよ。君を部屋に案内しようと思って」
「あぁ、スホさん…ありがとうございます」
スホさんは俺の顔を見て微笑むと、流しに目を向けた。
「…皿、洗ってくれてたのか」
「あ、はい！ジョンインの手伝いしてたんですけど…ジョンイン、急に走ってどっか行っちゃって」
「…そうか。ごめんね、手伝わせて」
「いえ、全然！このくらいのことならいくらでもしますよ！」
「あはは、ありがとう。じゃあ、部屋に案内するよ。ついてきて」
「はい！」
俺は、歩き出したスホさんについて行く。
流し台からの去り際、チラッとギョンスの顔を見てみた。
俯いていて…心なしか、暗い顔をしていた。
やっぱりこの家…何か、おかしいんだよな。
なんていうか…住人同士の関係性が、よく分からないというか。
『あんまり、ここの人に生い立ち聞かない方が良いです。みんな訳ありですから』
ジョンインはそう言っていた。
なんかむず痒いな…
俺、普通の家庭に生まれて普通の暮らしをして普通に育った自信しかないし…うまくやっていけるかな…。
そんなことを思いながらスホさんの後について行く。
階段、上がるのか。
二階に行くと長い廊下があって…階段を上がりきった場所には、ソファと机置いてある。談話室みたいな？
その長い廊下を歩く…何個か部屋があって、扉には名前が書いてあるプレートがある。
ベッキョン、ジョンデ、ギョンス、ジョンイン、A、スホ…
「ここだよ」
案内された部屋の扉。
プレートを剥がした跡がある…前の住人がいたのかな。
スホさんが部屋の鍵を開け、扉を開けてくれる…
「わぁ、すげぇ…」
そこはまるでホテル。
ふかふかそうなベッド、高そうなテーブルと椅子、綺麗なオブジェ…
「いいんですか、こんなところ！？」
「うん。空いてる部屋はここしかないからね」
「ありがとうございます！」
「困ったことがあったら、俺の部屋に来て。隣だから」
「はい！ありがとうございます！」
「うん、では、ごゆっくり」
スホさんは微笑んで部屋を出た。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年7月24日 21時
