199.共有した希望 ページ1
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「たくさん辛い思いをさせてごめんね。お空で私たちのこと、見守っていてね」
ずっと、来たかった場所。
セフンの…弟の、お墓参り。
私とセフンが記憶を無くした事故で亡くなった、私とジョンインの実の子。
彼の分も…私たち家族は、生きて、前に進まなきゃいけない。
記憶を、取り戻して。
もちろん、辛いこともたくさん思い出したけど。
幸せな記憶も、たくさんあった。
1番は、セフンを産んだ瞬間。
この世の終わりかのような陣痛に耐えて、ようやく生まれてきてくれた我が子の尊さを、改めて感じた。
セフンの方は、相変わらず記憶は無いみたいだけど。
彼のペースでいい。思い出すも、思い出さないも自由だ。
その分、おんまとあっぱが、大切に記憶しているからね。
「今日、か…」
「本当に、行かなくていいのか…？」
「うん。来ないでって。ありがとう、でさよならしたかったのに、絶対余計なこと言うからって」
ベッキョンは、予定通りアメリカに旅立った。
しばらくは、帰ってくる予定は無いらしい。
「べっきょにひょん、また会いたい！」
なんて、セフンは言ってるから…いずれ、大きくなったら、会わせてあげたいけど。
♪〜
「うわぁ、僕、このおんがく、好き！」
「ふふっ、そう？」
天才作曲家、ビョンベッキョンは。
アメリカに行ってすぐに、一曲のデモを、送ってきた。
そのタイトルには、『希望』と名付けられていた。
とっても明るくて、爽やかな曲。
歌もとっても上手なベッキョンは、自分の歌声をデモに吹き込んでいて。
すごく、活き活きとした声だった。
チャニョルから聞いた。
『俺にとっての希望は、誰かの絶望なんだ』
そう、ベッキョンは言っていたらしい。
でも、我が家の希望は、紛れもなくセフンだし。
今の彼の希望も…セフンだと言う。
やっと…希望を共有することが、できたね。
ベッキョンの親友として私たち家族を支えてくれたチャニョルを始め…ジョンインと暮らすよう引き合わせてくれたジュンミョニオッパ、セフンに本当のおんまだということを伝えてくれたギョンス、記憶喪失の私を受け入れて仕事をくれたミンソクさん、いつも笑顔でさりげないフォローをして癒してくれたイーシン先生、私とベッキョンが会う時に私を守ってくれたジョンデ…。
たくさんの人の支えがあることに、感謝している。
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作者名：LUKE | 作成日時：2021年3月26日 2時
