アムネシアを枯らすな 4 (ページ10)

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158.一瞬の記憶ページ10

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「お、そうそう！力入れて～うん、上手！」

「えへへ、そうでとぅか～？」

今作っているのは、セフンもジョンインも大好きなハンバーグ。

セフンが手伝ってくれている。

「うぅ、ねちゃねちゃする…」

「まぁ、ミンチだからね。しょうがないかな」

「これさわったの、はじめて…」

なんだか、セフンが初めてのことを経験して、こうやって成長するんだなぁ…って思うと、しみじみする…これが親心ってやつか…。

「よし、これを丸くするの。おんまがやるから見ててね～」

「うん！…おー、すごい、まんまるだぁ…」

「そう、それで、こうやって…空気を抜くんだよ」

「なんでくうきぬくの？」

「形が崩れないように、かな」

「へぇ！！」

セフンは好奇心旺盛で、ずっとキラキラした目をしている。

あぁ、可愛い。天使天使。

「よし、じゃあフライパンの上に置こう！もうフライパンはあったまってるから、やけどしないように気をつけてね」

「う、うん！」

セフンは緊張した面持ちでフライパンの上にこねたハンバーグを置く…

「…おけた！」

「お、やったね、セフナ！」

こんな小さなことだけど、なんだか嬉しくて、パンッとハイタッチをする…

と。

『できた！』

『すごいじゃんセフナ！』

「痛っ…」

頭痛がして、ほんの一瞬だけ、何かの場面が頭をよぎった。

今みたいに…セフンとハイタッチしてる場面…

「おんま…！？大丈夫でとぅか！？」

…あんな場面、知らない…って、ことは…？

　ガチャ

「おー、良い匂い！あ、ほら、やっぱりハンバーグじゃんかぁ！！」

「痛って！なんで叩くの、チャニョリヒョン…」

元気なチャニョルの声とジョンインの声がして、ハッとする。

「お、セフナ～Aちゃんのこと手伝ってたのか～？」

「う、うん…」

セフンはチャニョルに返事しながら、私のことを心配するように見る。

「…A？何かあった…？」

それに気づいたジョンインも、心配そうに私のことを見た。

「…う、ううん、なんでもない」

とりあえず、そう言っておく…

たぶん、記憶を無くす前の出来事だろうから。

セフンも同じく記憶を無くしているが、本人はそれに気づいていない。

忘れたい記憶を忘れているんだから、セフンの前でその話をするのは良くないだろう。

「…ったく。Aちゃんだって誤魔化すの下手じゃん！」

そう、チャニョルは眉を下げて笑った。

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