191.誰でとぅか ページ43
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「かふぇ〜かふぇ〜♪」
ご機嫌な…何も知らないセフンの手を握ってテラス席に足を踏み入れる。
このカフェは、私とジョンインが出会った場所…らしい。
そして、私が記憶を無くす前、週一で改心したベッキョンと会っていた、という場所…らしい。
前に来た時に座ったテラス席には誰もおらず、通り抜けて店内に入る。
カランカラン
「あ…Aちゃん、そしてセフンくん！いらっしゃい！」
出迎えてくれたのは、ここの店長のジョンデ。
「…ぼくのこと知ってるんでとぅか、おじさん…」
セフンは人見知りなのか、私のスカートをぎゅっと握り、少し後ろに下がった。
「お、おじさん…」
ジョンデは少しだけ傷ついたような表情をしつつ、セフンの目線に合わせるように屈んだ。
「大きくなったねぇ…って言っても、おじさんのこと覚えてないよね」
ジョンデは、私とセフンが記憶を無くす前にセフンと会ったことがあるのだろうか。
「ごめんなたい…覚えてないれす…」
「ううん、いいんだよ。さ、今日はおじさんが美味しいもの作ってあげるからね！」
よしよし、とセフンを軽く撫でると、ジョンデは立ち上がる。
「Aちゃん、彼、もう来てるよ」
ジョンデは柔らかい表情で私にそう言う。
全て、ジョンデには事情を話してあって、協力を依頼済みだ。
「ご案内します！」
「お願い、します」
私が緊張してるのを察してか、明るく振る舞ってくれるジョンデに、着いていく。
ポツポツと人がいる店内のはず、なのに。
私には、1番奥のテーブルにいる後ろ姿しか、見えなかった。
「どうぞ、こちらに」
ジョンデがそう言って提示したテーブルに座っていた彼が、ジョンデの声に、パッとこっちを向く。
「A…」
彼…ベッキョンは、私の顔を見ながらゆっくりと立ち上がった。
「また、しらない人だ…」
「…え…」
呟いたセフンの私を握る手が強くなると共に、ベッキョンが下を向き、セフンを視界に捉えて驚いた表情をする。
「なんで…この子、も…」
「だ、だれ、でとぅか、おんま…」
私を不安げに見上げるセフン。
でも、ベッキョンの顔を見ても、嫌な思い出がフラッシュバックしないみたいで、安心した。
「…今から、説明するから。座ろっか、セフナ」
私はそう言って、ベッキョンの向かい側に座り、セフンを隣に座らせる。
ベッキョンは呆気に取られたように、固まっていた。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年12月3日 2時
