アムネシアを枯らすな 4 (ページ25)

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173.強かな人たちページ25

＜チャニョル＞

俺は、事の経緯をジョンインに説明した。

『なんなんですか、あの女！ジョンイナのことを騙してるんじゃないの！？』

『お、落ち着いてくださいって…』

テミンママがジョンインについて俺に詰め寄っていた時、イーシン先生が助けに来てくれて…

『あらら～、チャニョル先生。そろそろお仕事の時間ですよ～？』

『イーシン先生…先生も聞いてくださいよ！』

『どうしたんですか、テミンママ…そんな表情…せっかくのお美しい顔にふさわしくないですよ～』

『い、イーシン先生…』

テミンママはその時…一気に、イーシン先生に惹かれたみたいで…。

それからというもの、今までジョンインくんに向けていた顔を、イーシン先生に向けるようになって。

簡単に言えば、ジョンインからイーシン先生にターゲットが変わった、って感じだろうか。

やっぱり強かだ、と俺は思っていた。

シングルマザーだから、強くないといけなかったんだと思うけど。

一方のイーシン先生…俺と違って、機転が効く人で。

テミンママのお誘いを、相手を傷つけないように上手いことヒラヒラと交わしている…さすが。

いつもほわほわしてるけど、イーシン先生ってテミンママの何倍も強かだと思う…。

「だから…もう大丈夫だと思うよ。イーシン先生なら上手くやるだろうしさ…」

俺の説明を聞き終わったジョンインは、俯いた。

その顔は、まだ納得できていない様子だ。

「もう安心して大丈夫だと思うよ…？」

俺がもう一度そう言うと。

「…でも、俺が何か解決したわけじゃない」

そう、ジョンインは悔しそうに呟いて、イーシン先生と話すテミンママに目をやった。

Aちゃんは、そんなジョンインを、黙って真っ直ぐな目でじっと見ていた。

「…セフナ、テミナ。そろそろ行かないといけないだろ？」

ジョンインはそう言ってしゃがみ、楽しそうに話していた2人の頭に手を置いた。

「うん！あっぱ、いってきます！」

「じょんいなも、おしごとがんばって！」

「…テミナ」

ジョンインはテミンの方をじっと見る。

「これからも…セフナと仲良くしてくれるか…？」

「うん、もちろんだよ！」

「…ごめんな、テミナ」

「？なんであやまるの、じょんいな…」

ジョンインは苦い顔をして俯いた。

「…俺、」

「もういいから。みんな遅れるわよ」

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