アムネシアを枯らすな 4 (ページ20)

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168.あの時の夢ページ20

＜ジョンイン＞

…あれ。

ここは…

病室…？

なんだ…？なんか、見たことある光景…

あれ、ベッドの横…俺が、いる…

ベッドの上には…A…

あぁ、夢か。

そう、現状を把握した時。

『A！！！あぁ…A…生きて、た…』

ベッドの横のもう1人の俺が、突然叫んで泣き崩れた。

ベッドに寝ていたAは、目を開けて、何が何やら分からないといった様子で泣きじゃくる俺を見つめている。

『A…ごめん…こめんな…ごめんっ…！！！』

謝罪の言葉を繰り返すもう1人の俺…

あぁ、まんまだ、あの時の。Aたちが事故に遭った後の。

夢というか…まるで、第三者の視点で、あの時のことを見ているようだ。

『生きててくれて、良かった…生きてて、くれて…』

確か、俺がこう言った後にAは…

『…すいません、すごく言いにくいんですけど…どなたかとお間違えじゃないですか…？』

『へ…？』

『えぇっと…確かに私の名前はAですけど…』

『…もし、かして…』

目が覚めた時のAは何か違和感があって。頭をぶつけたと聞いて、まさかとは思っていた。

『…俺だよ…？Aの、夫の、キムジョンイン…』

『え…す、すいません、やっぱり…私、結婚なんてしてないですし…私には彼氏がいて…ビョンベッキョンっていうんですけど…』

『…は…』

『あれ、おかしいな…ベク、毎日お見舞いに来てくれてたはずなのに…』

もう1人の俺は、Aの思いもよらぬ発言に、混乱しているようだった。

『…なんで、自分はここにいると思ってる…？』

『え…鬱病の、入院で…でも、回復傾向にあって、もうすぐ退院できるんです！』

Aは、聞いてもないことをペラペラとしゃべった。

…まるで、そうありたいかのように。

『…俺、だよ』

『え？』

『あいつ、なんかじゃない…俺だよ、お前の夫は！！！』

『ちょっ…やめてください！いたっ…』

『あ…』

取り乱した俺が掴んだ腕は、事故で骨にヒビが入っていた場所。

『…その痛みは、どう説明するんだよ』

『これは…あはは…』

Aは、笑った。誤魔化すように…あの日の、ように。

『自転車でこけちゃって…えへへ…』

『嘘だろ。俺は知ってる。それは、ベッキョンの奴に付けられた傷だろ』

俺は、Aの記憶に乗るように、そう告げた。

『え…』

Aはびっくりした顔をした後。

『…違う』

そう呟いて、頭を押さえた。

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