アムネシアを枯らすな 3 (ページ7)

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106.声と音ページ7

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ミンソクさんとの電話が無事終わり。

明日は土曜日だから、休み明けの月曜日に取り敢えず行って面談ということになった。

この1人寂しく家で過ごす時間も、今日で最後かも、なんて思うと、ゴロゴロしておこうという気持ちになる…なーんて。

リビングのソファに寝転がってみる。

洗濯物が風に揺れてカタカタと鳴る音、鳥の囀り、飛行機や車の音。

静かに目を閉じれば、これだけ色んな音が騒がしく聞こえてきて、寂しさなんか感じないのに。

そのことに、初めて気づくような気がする。

『ねーねーA、これとこれ、どっちがいい？』

『ん？なにが？』

『ベッド！元々一人暮らし用に買ってたからさー、ちょっと小さいじゃん？まぁ今のままでもいいんだけど…自然にくっつけるし！』

『大きいの買いましょう』

『そんな寂しいこと言うなよぉ！！まぁ大きいの買ってもくっつくもんねー！クイーンサイズかぁ…広々と色んなプレイが…』

『もう！ベクの変態！』

『い、今に始まったことじゃないだろ～！？それに、俺が変態になるのは～…Aだけ、だから！』

『…っ、ばか！』

『あはは！新しいベッドでもいっぱい愛し合おうね～！』

…騒がしい人と一緒に居すぎたんだ。

その時は…彼の声しか、聞こえてなかった。外の世界の音なんてかき消すほどの彼の声は、2人の世界だけに響いて、

『ベッキョンに未練、あるの？』

「…っ！！！」

チャニョルの声が頭の中に響き、反射的に耳を塞ぐ。

『俺は、はっきり、きっぱり、ベッキョンとの関係は清算しなきゃいけないと思う』

…どうして、ベッキョンのことをこんなにいつまでも引き摺るの？

いい加減にしろ、と、自分に腹が立ってくる。

明日…明日だ、ベッキョンと会うのは。

チャニョルの言うように、はっきり、きっぱり、関係を清算するチャンス…だけど。

なんとなく…

やめよう。

時計を見る…まだ、2時。

セフンのお迎えって、何時なんだろう…せっかくだから、行ってあげたい…

することのないままここに居ても、また彼のことを思い出してしまうだけだし。

そう思っていた時。

♪～

スマホが鳴る。

着信…チャニョル…？

どうしたんだろう。

不思議に思いながら、電話に出ると。

『もしもしAちゃん。ごめんね、ちょっと今から保育園に来れるかな』

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