アムネシアを枯らすな 3 (ページ48)

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147.久しぶりの会社ページ48

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「車で送る」

「ううん、大丈夫だよ」

「…セフンの迎えは、俺が、」

「いいの！今日のジョンイナは完全に休む日なんだから！」

今にも出発しようという玄関先。

しょぼん、とした表情になるジョンイン。

「す、すぐ帰ってくるから…ね？」

やっぱり、この人は大きな子どもだ。

「電車で行くの…？」

「うん。久しぶりにね」

「気をつけて。電車には変なヤツいっぱいいるから。痴漢されたら大きな声で叫ぶんだよ」

「分かってるよ、大丈夫」

「寄り道しちゃだめだよ。真っ直ぐに帰ってきて」

「…はいはい」

…あれ、私の方が子どもみたいになってない？

「じゃあ…いってらっしゃい」

ちゅ、とジョンインが私を引き寄せてキスしてくれて。

いってきますのちゅー…なんだか、普通と逆な気もするけど。

とにかく元気が湧いてきた。

「いってきます！」

とはいえ…

会社に行くのなんて、本当に久しぶりで、電車も道も、人が多くて酔っちゃって…

会社に着く頃には、だいぶヘトヘトになってしまった。

「はぁ…頭痛い…」

頭を押さえながら、久しぶりの会社に入ろうとすると。

「あ、Aちゃん！わぁ…久しぶり！」

懐かしい声…

「ミンソクさん！！」

顔を上げれば、一重の綺麗な顔立ちをしたキムミンソクさん…癒しです。

「お久しぶりです…」

「うん…大丈夫？具合悪いみたいだけど…」

「ちょっと、久しぶりの電車に酔っちゃって…」

「あらら、そっか…。とにかく中に入って、座ろう。飲み物も用意するよ！」

さすが、頼れる上司。

ミンソクさんに促されるまま、部屋に通されて。

「はい、温かいお茶だよ」

「ありがとうございます…」

出されたお茶を飲んで、一息吐く。

「いやぁ…Aちゃんが復帰してくれるなんて、嬉しいよ。前電話した時は…あまり、乗り気じゃないみたいだったからさ」

「あぁ、いえ…」

その時は、ベッキョンの圧がすごくて…いやいや、彼のことを考えるのはやめよう。

「実は…知らされたんです。私が記憶喪、失、だって…」

…ん？おかしくない？

記憶喪失…事故のショックで、私はベッキョンと付き合っていた頃まで記憶が後退した、と思っていたけど…

ベッキョンと付き合ってたのは大学時代だから、会社に来ている頃の記憶は無いはず…？

…いや、今までなんで気づかなかったんだよ。

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