アムネシアを枯らすな 3 (ページ39)

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138.覚悟できていないページ39

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ジョンインはよく、私が記憶喪失になったことについて…忘れたくて忘れたことなんだろう、という言い方をする。

でも…ジョンインの抱えてるものを、分けてもらわないと…

ジョンインが、崩れてしまいそうで。

私はまだ、ジョンインが私を苦しめた、という事実を聞いたことがない。

…聞いても、いいのだろうか…。

そう、思う自分が、まだ、いる。

まだ、覚悟できていないのだ。

「…ごめん」

ジョンインはまた謝って、私から少し離れて涙を袖で拭いた。

「ジョンイナ…きっと、疲れてると思う。明日は、有給、取ってみたら…？」

「…いや、でもセフンが…」

「昨日も今日も、ちゃんと休めてないでしょ。大丈夫。セフンのことは私に任せて、ゆっくり休んで」

「…ありがとう。あぁ…A、明日会社に行くって言ってたよな」

「あ…」

…そうだった。ドタバタしてて、すっかり忘れてた。

ミンソクさんと仕事復帰の面談、するんだった…。

「…忘れてたの？」

「あ、あはは、まぁ…」

てへっ、と笑ってみると、ジョンインの表情は和らいだ。

「まったく…しっかりしてると思ったら、抜けてるところがあるんだから」

ぎゅっ、と、優しく抱き締めてくるジョンイン。

「癒しだよ、Aは、俺の。いつもありがとう」

「ふふっ…いえいえ。ジョンインも、いつもありがとう」

そう言って、私もぎゅっと抱き締め返す。

「…なんでこんな雰囲気になったんだろ」

そう言って少し照れ臭そうに離れようとするジョンインを、私はもっと強く抱き締めてやった。

「…A？誘ってんの？」

「は…なんでそうなんの！？」

慌てて顔を上げると、ニヤニヤとしたジョンインの顔。

「…今日はやめとくよ。疲れてるから。あー…でも、せっかく明日休むのに、Aと一緒にいれないなんて…」

「えぇっと…面談、するだけだからさ。今後についての相談。ミンソクさんの都合で、夕方しか空いてないみたいだから…午前中は、ゆっくりできるよ」

「ほんと…？」

ジョンインは途端に目をキラキラさせる。

「セフンも保育園に預けれるから…2人きり…よし。今日は体力温存」

そう言ってバサっ、と布団に潜るジョンイン…あの、なんか、怖いんだけど。

「…あの、聞いてました？夕方から会社行かなきゃいけないんですけど」

「会社には行ける程度に我慢するー」

布団から、そう籠った声が聞こえた。

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