アムネシアを枯らすな 3 (ページ37)

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136.ごめんページ37

＜ジョンイン＞

俺は、どんな未来を描いていた？

自分の実の子じゃなく、アイツの子だけど…でも、それでも、愛の力で、乗り切れると。

そんな根拠のない思い込みで。

セフンが、今のような、自分の気持ちを押し殺して相手を尊重するような子になったのは、事故で記憶を無くしてからだ。

元々は…ヤツによく似た子だった。

人の嫌がることがわからなくて、よく友達を泣かせて、俺とAでその子の保護者に謝りに行って。

家ではずっと、Aにべったりくっついて、俺が近づこうとすると酷く怒って。

最初は、それもこの子の個性だし、向き合っていこう、と思っていたのに。

ふとした瞬間に、Aを傷つけたあの男のことが思い浮かぶ度、しんどくなっていった。

この子は俺と、血が繋がっていない。

それを、まざまざと、痛いほど感じて。

それに耐えきれなくなった俺が取った行動は、実の俺とAの子を作ることだった。

…それで、何を解決しようとしたのか、今の俺にでさえ理解できないけど。

それが…結局、どうだ？

そのせいで、家計がしんどくなって、俺は働くのに必死になって、Aに子育てを任せっきりにしたり、疲れてイライラして当たったりして散々苦しめて…

挙げ句の果てに、全く罪の無い子を。

「…こんな、俺がっ…」

事故があってからは、ずっと、罪悪感に押し潰されそうになりながら、生きていた。

そんな時に救ってくれたのは、紛れもないセフンで。

学習能力の高いセフンに、人が嫌がることを徹底的に教えて…そうしたら、すごく、優しい子に育ってくれた。

この子のために、生きなきゃって…

俺は…

「ごめんな…ごめん…ごめん…」

やり直す？

いつからだ。

どこで、俺は間違えたんだ。

『Aっ…愛して、るっ…！！』

『いやっ、ジョンイナぁっ…！！』

あの時も…セフンがいるのに、俺の実の子が欲しい、と、嫌がるAを無理矢理襲って…

『はぁ…はぁ…最低！！どういうつもり！？』

俺のことを忘れているAが、記憶の中で初めて俺に会った時も…嫌がってるAを無理矢理襲った。

俺、学習しないから…

「…ごめん…っ…」

俺がそう呟いた時。

「ジョンイナ…？大丈夫？どうしたの…？」

愛しい人の優しい声が、上から降り注いできた。

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