アムネシアを枯らすな 3 (ページ27)

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126.温泉旅行ページ27

＜ジョンイン＞

「…はぁ…」

さっきから、何度時計を見てため息をついているんだろう。

Aを待つ車の中。運転席でハンドルを持った手に頭をもたれる。

…まだ、1時間しか経ってない。

セフンが熱を出したことにして撤収するか？

いや…嘘がバレたら、相手に負ける気がして、嫌だ。

どんな話を、してるんだろうか。気になる。

Aとベッキョンが、話しているところ…

『…なぁ、ジョンイン…あれ…』

『ん？』

『Aちゃんと、ベッキョン、じゃないか…？』

それは、セフンと、ジュンミョニヒョンと、俺の3人で、温泉旅行に行った時だった。

ホテルの晩ご飯のビュッフェに…2人は、居た。

幸い、セフンは2人から背を向ける状態だった。

ジュンミョニヒョンに囁かれて…2人の存在に、気づいた。

久しぶりに…Aを、見た。

その笑顔は、変わって、なかった。

ただ…彼女が楽しそうに、幸せそうに微笑む相手は…

俺やセフンじゃ、なかった。

『…なぁセフン。温泉旅行に行くこと…もしかして、チャニョリヒョンに言った…？』

『うん！じまんしたんでとぅ！あっぱとじゅんみょにひょんとおとこ3人でおんせんってところに行くんだーって！』

口の周りをベタベタに汚したセフンは、楽しそうに言う…

その、ルートか。

チャニョリヒョン、ポロッとそれをベッキョンの野郎に言った？

そうだとしたら…ここに2人が居るのも、納得ができる、というか…

つくづく、性格の悪い奴だ、と思う反面。

幸せそうに笑う2人を見ていると…

そんな怒りも、どうでもいいと、思えてくる。

…あ、A、むせた。

変わってないな…急いで食べようとしちゃって…本当に可愛い。

Aには、辛いことを…俺やベッキョンに苦しめられたということを忘れて、幸せになってほしいと。

Aが幸せなら…それで…

と、2人が席を立つ。

俺は…無意識に、立ち上がっていた。

『ジョンイン…？』

ジュンミョニヒョンがセフンの口元を拭きながら俺を見上げる。

『あっぱ…？もういらないんでとぅか～？』

『…ごめん、セフン、ジュンミョニヒョン。ちょっとお腹痛いから先に部屋帰る』

俺がそう言うと、ヒョンはチラッとベッキョンとAの方を見た。

『…何、するつもりだよ』

『…なんでもいいじゃん』

俺はそう言って、2人を追いかけた。

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