アムネシアを枯らすな 3 (ページ23)

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122.あの時気付けてたらページ23

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「…俺とAに時間制限あるの知ってんなら、そんな無駄話するのやめてもらえませんかね」

久しぶりに聞いた、ベッキョンの冷たい声。

「では、ご注文をお願いします！」

ジョンデが怯むことなく言うから…私も、あまり動揺せずに済んだ。

「…A、そのミートソースにすんの」

「う、うん…そうする…」

「…じゃあ俺も同じの」

「承知いたしました！せっかくだから、セットにしませんか？スープとサラダとドリンクがついてきますよ」

ジョンデにそう言われ…ベッキョンは無言で私を見てくる。

「う、うん、そうしようかな…」

「では、ドリンクはどうされますか？」

「え、えっと…」

「確か…Aちゃんは、よくアイスティー頼んでたよ」

「じゃあ、それで…」

「俺も、それで」

「承知いたしました！すぐお持ちしますね！」

ジョンデは一礼して、満面の笑みで帰って行った。

「…はぁ、邪魔された。確信犯だろ、アイツ…」

ボソッとベッキョンはそう言いながら、メニュー表を戻した。

「べ、ベッキョン…」

「…あ、ごめん、ちょっと取り乱しちゃった」

へへっ、と笑うベッキョンに…少しだけ、あの日の恐怖を感じる。

「…怖い？俺のこと…」

ベッキョンは恐る恐るといった感じで聞いてくる。

「…ちょっと、怖かった」

「そう、だよね…ごめん…」

ベッキョンは俯き、机の上で両手をぎゅっと握った。

「当時、今みたいに気付けてたら…俺は、Aを傷つけることなんて無かったのにね」

…やめてよ。そんな顔しないで。

「ごめん…全部、俺のせいなんだ…」

ベッキョンの声が震えだす。

…泣き落とし？

そんなの…

「俺ね…Aのこと、本当に本当に、好きなんだよ…愛してるんだ…自分が、おかしくなるくらい…周りが、見えなくなるくらい…」

…ずるい。私がこういうのに弱いこと、知ってるはず。

「だから、これからも…1週間に1回だけでいいから…最悪1ヶ月に1回だけでもいいから！会わせて、ほしいんだ…」

…それが、言いたかったわけね。

「Aは俺に会うの、嫌…？」

そんな聞き方…

「嫌じゃ、ないけど…」

「じゃあ…！！」

ベッキョンは目をキラキラさせて私を見る。

…だから、そういうのに弱いんだってば…

でも、私はここに、けじめをつけにきたんだ。

ベッキョンと、関係をちゃんと断ち切るために…。

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